第136話 策士な姫様


「ええっ!? そんなことがあったのですか!?」


「はい。でも街にいたみんなのおかげで、まったく怪我をすることなく、助け出されました」


 この高級宿でみんなとカロリーヌさんと一緒に食事をいただきながら、先日のアグリーの事件について話していた。もちろん王都にいる国王様には事件の詳細について報告していたが、細かいところまでは話していなかったからな。


 ……とはいえ、さすがに俺の貞操が危なかったところまでは話していない。裸の女性に囲まれたとか、俺にとっては最高の出来事でしかなかったけれど、普通の男性にとってはトラウマになってもおかしくないくらいの出来事だったからな。


 ちなみに俺は今でもランコットの裸が夢にも出てくるくらいだぞ……あれさえなければ、最高の思い出になっていたのに……


「本当にソーマ様がご無事で何よりでした。お話を聞いた時には、アニックの街に飛んでいきたかったくらいです……」


「心配をかけてしまってすみません。本当はもう少し早く王都に来てご報告したかったのですが、その後も街の方でいろいろとありまして、だいぶ遅くなってしまいました」


 アグリーとランコットが逮捕されたあとも、騎士団の副団長や大きな商店などがアグリーに協力していたとして、だいぶゴタゴタしていたからな。


「いえ、とんでもございません。王都の方もソーマ様とユージャ様が作られた効果の高いポーションが販売されることになって、結構な騒ぎになっておりましたから」


「やっぱり王都のほうも大変だったのですね。約束通りこの国以外の国にも公開してくれましたし、明日改めて国王様にお礼を伝えないといけませんね」


「皆さまとても喜んでおりましたよ! 特に冒険者様の方々は例のポーションがあるおかげで、生存率が大幅に上がったと聞いております。デーヴァ様もとても喜んでおり、ポーションを作る手伝いを喜んでしてくれておりますよ」


「デーヴァさんも元気になってなによりです。明日、久しぶりに会えるのが楽しみです」


 デーヴァさんが順調に回復したことについては王都からの手紙で連絡を受けている。体調が回復したあとは、例のポーションの検証を手伝ってくれ、今も毎日ポーションにエリアヒールをかける手伝いをしてくれているらしい。


 検証の結果、普通の治療師が回復魔法をかけたポーションよりも、男巫であるデーヴァさんが回復魔法をかけたポーション、そしてそれよりも聖男である俺が回復魔法をかけたポーションのほうが回復量の多いことが判明した。


 そのため、男巫であるデーヴァさんも毎日ポーションに回復魔法をかける手伝いをしてくれているようだ。


「「「………………」」」


 そんな感じで高級宿の料理を楽しんでいるのだが、他のみんなは俺とカロリーヌさんとの会話になかなか入ってこれないでいる。というのも、自然と食事の席順はカロリーヌさんが隣であったし、しかも久しぶりに会ったためか、ものすごくグイグイと来るのである。


 ……まあ、カロリーヌさんみたいな綺麗な女性が積極的に近付いてくれるのは男としてまったく悪くはないんだけどな。




 久しぶりに高級宿でのおいしい料理を堪能した。やはり王都の宿の料理は珍しい食材や香辛料などがふんだんに使われており、とてもおいしかったな。


「それではカロリーヌ様、日も暮れておりますし、私たち騎士団の者が王城までお送りします」


 食事が終わり、王都の騎士団のカミラさんが、カロリーヌさんを王城まで送ろうとするのだが……


「いえ、私も今日はこちらの宿に泊まらせていただきますので、そちらは不要ですよ」


「「「えっ……!?」」」


 みんなが驚きの声を上げる。カミラさんも驚いているってことは、少なくとも俺の護衛をしにアニックの街に来る前まではそのことを知らなかったようだな。


「お母さまからは許可をもらっております。そ、それで……ソーマ様さえよろしければ、ぜひ一緒のお部屋に泊まりたいのですが?」


「えっ!?」


 自分で言ったことが恥ずかしくなって、顔を真っ赤にしながら、もじもじとそんなことを言うカロリーヌさん……超可愛い。


 じゃなかった! いや、可愛いことは間違いではないが、さすがに未婚の王女様と一緒の部屋で寝るのはさすがにまずいだろ!


「カ、カロリーヌさん。さすがに王族であるお方が未婚の男性と同室に泊まるのはさすがに問題となるのでは?」


 これにはさすがのエルミーも口をはさんでくれた。うん、やっぱりそう思うよね。


「いえ、どちらにせよ護衛のエルミー様たち他の女性の方もソーマ様と同室に泊まるのですから問題ないでしょう」


「うっ、そ、そうですね……」


 前回この宿に泊まった時もそうだが、この宿の部屋はベッドが多数あって前回も護衛のみんなは同室だったし、今回もその予定だった。確かにそこに女性がひとり加わっても問題ないのか。


「だ、だけどよう、この宿よりも王城の方が安全なんじゃねえか?」


「いえ、王都の騎士団の者もおりますし、なによりAランク冒険者である皆さまがいらっしゃいますから」


「うっ……」


 そう言われてしまえば、フェリスも黙るしかない。なにせそれを否定すると、自分たちの護衛能力を否定することにもなるからな。


 う~ん、カロリーヌさんって意外と策士だな。当然俺もそれを拒めるような理由はなかった。


 前回この宿に泊まった時には大勢いた若い女性の従業員はいなくなっていたし、どうやら国王様は本気で俺とカロリーヌさんをくっつける気でいるのかもしれない……




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いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます(^人^)


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