それぞれが影を持ち、互いに複雑な感情を抱く高校生の男女3人。アネモネの花言葉を軸糸に綴られていく3人の恋の物語。
読んでいると、暑苦しくも軽やかで、汗臭くも爽やかな、あの教室で過ごした日々が頭に蘇ってきます。そしてあの息が詰まるような甘く切ない想いも、胸の高鳴りも。
しかし単なる甘い恋物語だと思っていると中盤以降のシリアスな展開に足をすくわれるでしょう。作者さんが登場人物に背負わせた運命は過酷です。そして彼らが導かれるのは意外過ぎる展開……しかしそこに必ず救いがあるのは作者さんの優しさでしょう。
作者さんのストーリーテラーとしての才能が遺憾なく発揮された青春小説。もっともっと読まれるべき素晴らしい作品です。お勧めです。