第二章:女王の瞳(1)
むかしむかし、ある国に、とても美しい女王様がいました。
女王様は、いつでも、大粒のエメラルドの宝石を、
キラキラ輝く最高級の宝石ですら、女王の大きな瞳にきらめく同じ色の虹彩を引き立てる道具でしかありませんでしたが。
そう、女王は、自分の美しい緑色の瞳をたいそう自慢にしていたのです。
女王様の暮らすお城はとても大きく立派でしたから、毎日、大勢のメイドたちが忙しく働いていました。
ある日、そこに、若いメイドが新たに雇われることになりました。
それは、お城のお
ほかに身寄りがないので、これまでも兄のブライと一緒に城中で暮らしていたのですが、そろそろ年頃にもなったので、お城のメイドとして働きたいと、自分から希望したのです。
ブライは、よろこんで女王様に口添えしました。
年の離れた妹ながら、たいへんに気立てがよくシッカリした娘でしたから。
それに、なかなかの器量よしだったので、美しく高貴な女王様にお仕えすることは、シスレの花嫁修業にも申し分ないと思えました。
女王様も、信頼する主治医の申し出ですから、こころよく了承しました。
そればかりか、シスレを女王様付きのメイドにするとまで言ってくれたのです。
こうして、初めてのお勤めの朝を迎えたシスレは、期待に胸を高鳴らせながら、女王様のお部屋に向かいました。
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