ラのゴジュウハチ「正義のため闇に蠢く者」

──ギィ……ギィ……。


 闇夜の道を、何者かが何本もの鎖をジャラジャラと引き摺りながら行進していく。


 頭からすっぽりとフードを被っているので、それが誰であるかは分からない。

 鎖の先には刃物や分銅など、殺意の篭った武器が取り付けられていた。


 通りを真っ直ぐに歩いていたその者は──立派な門構えのお屋敷の前で足を止める。


 顔を上げ、その者は門の横へと視線を移す。


 掲げられた表札には『八百万九十九組』──の文字。


 何者かは怪しくニヤリと口元を歪めた。


「……正義の為に……」

 ボソリと呟く。


 そして──音もなく、闇夜に紛れてゆっくりと門の中へと姿を消していったのであった。

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