ラのヨンジュウハチ「目覚めの人格崩壊」
サングラスの男は倒れて気を失っているスキンヘッドの男と金髪の男とスキンヘッドの男に近付いて行った。しゃがみ込み、二人の顔をまじまじと見詰める。
「なるほどのぅ……。これを、嬢ちゃんがやったんかい。ご苦労なこっちゃやでぇ」
言いつつ、サングラスの男はスキンヘッドの男の頬をペシリと叩いた。
「おーい、起きろや」
好き放題された恨みの念も込められているらしく、二発目には勢いもあった。とても優しく起こしてあげようという感じではない。
「うぅ……」
唸り声を上げ、スキンヘッドの男がゆっくりと瞼を開いた。
意識を取り戻したが、まだ頭が働いていないらしく目は虚ろだ。
「おどれら、何者やねん。どこをアジトにしとるんや。キッチリと吐いて貰うでぇ!」
サングラスの男はスキンヘッドの男の襟首を掴んで引き寄せる。睨みを利かせながら凄んだ。
「えっ? え……?」
スキンヘッドの男の反応は意外であった。
食って掛かるわけでも高圧的な態度を取るわけでもなく、不思議そうに目を瞬いている。自分が置かれている状況が分かっていないのか、自分を取り囲む強面の男たちの顔をキョロキョロと見回した。
「あの……」
そして──不可解なことを言い始める。
「おじさんたち、誰ですか?」
「……はぁ?」
こんな状況下で、大男からのそんな発言に可愛さは感じられない。むしろ、当然サングラスの男の逆鱗に触れてしまったようである。
「人の事務所破壊しといて、知らんが通るかい!」
サングラスの男は怒鳴りながら乱暴にスキンヘッドの男を揺さぶった。
そして、スキンヘッドの男のこめかみに銃口を突き付けて、さらに脅しをきかせた。
「 しらばっくれとるんじゃないわいっ!」
「ひ、ひぃぃいぃっ!」
スキンヘッドの男は悲鳴を上げ、体をガタガタと震わせた。
先程までの威勢は何処へやら──まるで、子どもである。
「な、なんや、こいつ……? こんなんやったか?」
弱々しいスキンヘッドの男の態度に、サングラスの男は困惑したものである。
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