ラのヨンジュウゴ「いざ様子見へ」

 強面の男たちがのそのそと元事務所があった雑居ビルの周りに集まって来た。

 サングラスの男から要請があり、組の屋敷から派遣されて来た組員たちである。


 近付いて来たサングラスの男の姿が目に止まると、強面の男たちは途端に背筋を伸ばし、畏まって頭を下げ始めた。


「ご苦労様です!」

「お疲れ様です!」


 サングラスの男はニコニコと人の良い笑みを浮かべると、手を振ってそんな強面の男たちを制した。

「挨拶はええから。よぉ、来てくれたのぅ」

 強面の男たちが開けた道を歩き、サングラスの男は雑居ビルの前で立ち止まった。

 懐に手を入れる。

「……んじゃ、行くとするでぇ」

 そして、サングラスの男は黒光りする武器を取り出して手に持った。──拳銃である。

 物騒なものを装備するとサングラスの男は後ろを振り向き、顎をシャクった。


 強面の男たちはその意図を察し、頷いた。

 短刀や金属バット、ゴルフクラブなど──それぞれ武器を持った強面の男たちがズカズカと歩き出す。


「油断すんなよ。何が潜んでいるか分からんさかいなぁ。なんかあったら、安易に手を出さず知らせるんやで」

「はいっ!」

 威勢良く返事をした強面の男たちは次々と雑居ビルの中へと踏み込んで行ったのであった。

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