ソのハチ「印象の狭間」
劉生は門の扉が閉まるまで、女生徒の後ろ姿を呆然と見送ったものだ。擦れ違う時にとても良い匂いがして鼻を擽ったものである。
──ガタンッ!
上の空であった劉生であったが、門の閉まる音でふと我に返った。
そして、冷静になり考えたものである。
──今の女生徒はお屋敷の中へと入っていった──?
ということは、つまり今の女生徒は姫野家と少なからず何らかの関係を持った人物であるということが伺えた。
インターホンも押さずに正面から堂々と門を潜って行ったことから──恐らく来客などではなく、お屋敷の住民であろうことが推察できた。
劉生の脳裏に、父やおばさんから受けた忠告の言葉が浮かんだものだ。
『姫野家は呪われた血筋。関わるな』
──本当にそうだろうか?
疑問符が、そんな忠告を掻き消した。
先程の女生徒の天真爛漫な姿が頭に浮かぶ。
──本当に、姫野家は恐ろしい存在なのだろうか?
呪われたお屋敷を前に、劉生の心は揺れ動いたのであった。
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