第5話

校門からでた俺と美海さんは、学校から徒歩20分程の所にある、カフェへ向けて歩いていた。


「それにしても暑いね〜まだ春なのに」

「そうですね。早く冬になってほしいです」

「フフッ何それ。翔くん冬は嫌いって言ってなかった?」

「嫌いとは言ってません。夏に比べたら好きって感じです」

「どうして?」

「冬は厚着をすれば、普通に生活できますが、夏はどれだけ薄着を来ても、限界がありますから」

「確かに」


そう。俺は夏が嫌いなのだ。


だから夏休みが来れば、家から出る事なく、エアコンの効いた部屋に篭ってゲームをする。陰キャにとっては、最高の環境だ。


「私は夏が好きだな〜」

「なんで?」

「夏は青春を謳歌できる季節だからかな」


青春を謳歌できる?


「それなら他の季節でもできると思うんだが?」


「チィチィ!分かってないな〜翔くんは。夏といえば夏休み!海やプールに行ったり、花火大会にだってある。一番青春出来るとは思わない?」

「思わない」


海に行ったら肌が焼けるし、花火大会に行ったら人が沢山いる。陰キャの俺からしたら、地獄にすぎない。


「も〜分からい人だな〜なら夏が好きになるように、私が楽しさを教えてあげる」


勘弁してくれ。今年の夏も家で過ごす予定なんだから。


「いや。教えてくれなくても大丈夫」

「もう!遠慮しなくていいから」

「してない」

「何照れてるの?コノコノ〜」


そう言って俺の頬っぺたを、ツンツンしてくる。


「つ、ツンツンするな」

「フフッ可愛い」


美海さんは、いつも俺をからかってくる。


どうにかしてやり返せないだろうか?こと後はカフェに行くしな・・・・・


カフェ?


「!?」

「どうしたの?」

「い、いや何でもない」


クク。いい事を思いついたぞ。


覚悟するんだな美海さん。


「さぁ早く行こうか」

「え、うん」


俺は歩くスピードを上げた。そのスピードに合わせるように美海さんがついてくる。


「どうしたの?急に行く気になって?」

「別に。ただ喉が渇いたし、暑いから早く行きたいだけ」

「ほんとかな〜?あやしいな〜」

「なに?じゃあ行くのやめる?」

「それはいや。ま、いっか」


美海さんは納得してくれたようだ。


カフェに着くのが楽しみだ。待っていろ美海さん。今までの借りを返してやる!


こうしてカフェに向けて、歩いて行くのだった。この後に、あんな事が起きるなんて思わず。

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