第10話 自分

________________。

『…………っ。』

「…ね、ねぇ。」

『なんだよ…!』

「え、えっと…あなたが前、やっと楽になれる…って言った…じゃん?」

『それがなんだよ…!』

「そ、そ、それって、どういう意味…なのかなって…」

もう1人の自分がふらついた足取りでこちらにくる。


ガシッ


「…………………っ!?」

首に痛みが走る。首を掴まれた。

『どういう意味もクソもねぇだろうがよ!!!!全部お前のせいなんだよ!!』

「…………………………っっ。」

どんどん力を強めてくる。空想の世界なのに苦しい感覚が強まっていく。

『前言ったよな!?お前の感情から私は出来てるって!!そのせいなんだよ!お前と私が…っ…繋がってるからっ…!!!!』

「わ…たし……のせ…い………?」

『そうだよ!!お前が密かに感じている感情が私の体を傷つけてる………!!いつも見えない何かが私をっ!私を………っ!切りつけたり!首を締められたり!!!』

「………………………。」

密かに感じている感情……とはなんだろう。

『そして…お前に死ねばいいんじゃないかと提案したのは…。私もお前も幸せになるためだ。』

「…………………!?」

『お前が幸せにならないと…私に対する傷つけが止まない。痛くて痛くてたまらない…。だから死ねばいいと言ったんだ。』

もう1人の自分が私の首を締めてた手を離した。

『私のこの姿。惨めだろう。心が苦しくなるだろう。傷が沢山あって、包帯も1部しか巻かれてない。痣も沢山。痛々しいだろう。』

「…そうだな。」

『この体を治すために、お前は幸せにならないといけない。』

『……お願いだ。幸せになってくれ…っ!』

「………わかっ…っ!?」

空間がゆがみ始めた。タイミングが悪いな。


「わかった…!…わかっ…た!頑張る!頑張る!!」


意識が遠のいていく。


____________。

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