「人生」という遺書

第8話 消滅

涼しい風が吹き付ける。

輝く月。

ベランダに写る影。

この景色を見るのが最期だと思うと、少し心寂しく感じる。

さぁ、ここから飛び降りるだけ。

そしたら死ねる。この世から消滅できる。

飛び降りるだけ。

飛び降りる……だけ………。

…？足が震えている。なかなか1歩を踏み出せない。

「さ、さっさと…飛び降りなきゃ…。」

口も震えた。

__________________怖い。

なんで？一歩踏み出すだけなのに。

………………………。

怖い。どうしても怖いと感じてしまう。

恐怖が全身を支配している。

________________________。

何故か、その日は飛び降りられなかった。

なんで？なんでだろう。

こんな私が生きてるだけで何人もの人を悲しませるのに。

なんで死ねなかったの？なんで生きてるの？

こんな自分さっさと死ねばいいのに。

こんな自分じゃもう息ができない。

さっさとこの世からさよならを告げたい。

「自分を傷つける方法…ないかな」

検索アプリに

「自分を傷つける方法」と入力した。

「…リスカ？」

リスカとはなんだろう。興味が湧いてもっと深く調べてみた。

どうやら「リストカット」という自傷行為らしい。（リストカットを略称したのがリスカである）

自分の腕にカッターやハサミ、カミソリなどの刃物で傷をつける。

その行為をする意味は「自分で自分を罰する」という意味がある。

「…やってみようかな」

その想いが一番強かった。

リスカ以外の自傷行為はないかと調べていると、

「OD…？」

OD。OverDose（オーバードーズ）の略称。

オーバードーズとは「薬の過剰摂取」（大量服用）という意味である。

薬の過剰摂取を行うと、死に至ることは知っているだろう。それを自ら行う行為なのだ。

「これはやりたくないな…。」

体に関わるリスクが高すぎる。

そう。ODは失敗すると、今後の体に影響を及ぼす。

過去例に従い、失敗のリスクが多い。

これはダメだ。と、直感で感じた。

「とりあえずリスカ。やってみようかな」

私はそう決断した。