第4話 追い詰め
________出来損ないが。
…。また幻聴が聞こえる。
この幻聴。何故か私の声に似ているんだ。
かと言ってもう1人私がいる訳でもない。
一体、幻聴の正体は何者なんだろうか。
いつわかるんだろう…。
そして、悪夢を見るようになった。
あと不思議な夢も。
空から落ちている夢、誰かに裏切られて殺される夢、体が崩れ落ちていく夢、白い景色に黒い床が広がっている空間にいる夢…いろいろ見るんだ。
残酷な血が飛び散る景色をいくら見ただろうか。口から、傷からの血を。
私さえわからなくなってくる。
私を見失いそうになる。
謎の喪失感。どうにもすることができない。
普通じゃなくなった日々を歩いていく私。
こんなの意味があるのかな。
やっぱり胸が苦しくなる。その感覚に締め付けられる。
思うんだ。ずっとこのままなのかなぁって。
ずっとこのままなんて嫌だ。
まだこれから未来はあるのに、楽しみにしてることなんていくらでもある。
このまま耐えきれなくなって、崩れていったら……………。
………未来はあるのかな?
___________________なにか聞こえる。
「…か……で?………奏?」
瑠々の声が聞こえた。
どうやら瑠々は私にずっと話しかけてたらしい。
「ご、ごめん瑠々!ボーっとしてたw」
「奏…。本当に大丈夫?最近変だよ?いつもの奏じゃない…。」
いつもの奏…?いつもの奏ってなんだろう………?
そっかぁ。それすらわからなくなったのかぁ…………。
「大丈夫。瑠々。ちょっと疲れてるだけ。」
また嘘をついた。
瑠々が不安そうにこちらを見つめている。
「辛かったら言ってね?私、奏の力になりたいからさ!」
瑠々…。
「ありがとうね。瑠々!」
ちょっとだけ心の痛みが引いた気がした。
◇ ◇ ◇
お風呂から上がり、ドライヤーをして、ベッドに入る。私はそのまま夢の中へ堕ちた。
________ねぇ。
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