第3話 絶望

あの冤罪をかけられた日から、私は上手く喋れなくなった。

また私の言動で勘違いされたりしたらどうしよう。とか、いろいろ考えてしまう。

「おはよう!奏!」

あ、瑠々…だ。挨拶返さなきゃ。

「お、おはよう…瑠々。」

少し戸惑いが出てしまった。そして声のトーンが低い。不快かな…?

「どうしたの?奏。元気ないじゃん…」

瑠々は鋭いなぁ…。さすがとしか言いようがない。

「なんでもないよ!いつも通りだって〜w」

キツい冗談だったかもしれない。

「…そっか!じゃあ教室行こうか!」


俺は今。瑠々に嘘をついた。

ごめんね。瑠々。


人に嘘をつくなんて最低だ。しかも友達に。

これからもこうなのかなぁ。

そう考えると胸糞悪い。

なんとかして立ち直らなければ、普通の日々は戻ってないというのに…。


___________嘘つき。


?今なにか聞こえたような…。

「瑠々何か言った?」

「え?何も言ってないよ?」

瑠々は「何も言ってない」って顔をしている。瑠々は何も言ってないようだ。

「あ、なんでもない。ごめんね」

…空耳かな。


学校はいつも通りに進む。

私は時が止まったような進み方。

ザワザワとうるさい教室も、怖く感じた。

何か言われてるんじゃないかって気にしてしまうようになる。

…なんでだろう。今までそんなことなかったのに。

私の日々は変わってしまった。


学校が終わり、重い足取りで家に帰る。

あれ以降ママとは重い空気だ。

私は何も悪くないのに、ママも勘違いして。

その場にいた全員が事実を知らないのに、私だけ知っている。


_____家に私の居場所はない。


ただただ苦しい。心が重い。息が詰まるような感覚が私をずっと襲ってきている。


やだなぁ。こんな気持ち、どっかいっちゃえばいいのに。


「…ただいま。」

誰も返事をしない。

そっか。ママ仕事でいないんだ。

まだ誰も帰ってきてない。私だけがいる空間。静けさがある。

自分の部屋に行った。

…。何故こんなに荒れているんだろう。

物が散乱し、雰囲気は重い。

何故こんな部屋になってしまったのだろう。


______お前のせいだろ。


また何か聞こえた。この部屋には私以外誰にもいない。ましてや家には私以外誰もいないのだ。どこから聞こえるんだろう。


上手く喋れなくなり、幻聴が聞こえ、親との関係は悪化。


こんな絶望の日々。いつまで続くのだろう。

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