第2話 冤罪

私は理解が追いつかなかった。

何故駿斗のお母さんが?私指名で?

意味がわからなかったが、とりあえず玄関を出た。

「あら。奏ちゃん。ごめんねぇ急に呼び出しちゃって…」

「はい。大丈夫です。」

「ちょっと奏ちゃんにお話があってねぇ。」

「なんでしょうか…?」

「奏ちゃん。うちの子に暴言浴びせたでしょ。」

「……………え?」

私は一瞬言葉につまり、え?としか言えなかった。

「え?じゃないわよね。さっさと認めなさいよ。」

「……………………。」

違う。私はそんなことやってない。駿斗に暴言なんか言ってない。違う。咲に言った。飛んだ解釈違いだ。

「奏ちゃん。あなたねぇよくもうちの駿斗に暴言浴びさせたわね。」

「ち、違います!あれは咲に………!」

「咲ちゃんだったらいいの!?」

ビクッ。私の体が震えた。

急に怒鳴られたんだ。友達のお母さんに。

「あんたは暴言吐いた自覚がないのか!!」

………………。


その場に沈黙が続いた。


「奏ちゃんのお母さん。一体どういうつもりなのです?どうやって奏ちゃんを育てたんですか?」

______________。

その後も冤罪を本当かのように吐き続け、挙句の果てにママまでにも飛び火が散った。


「これからは言葉遣いに注意してくださいね。奏ちゃん。」


そして去っていった。


家に入った後、ママに説教される雰囲気があった。

「奏!!!!!なんていうことをしたの!!!!!」

途端に私の目から涙が溢れ出す。

視界がぼやけている。

「奏が駿斗君に暴言吐いたって聞いた時、ママ悲しかった!!」


「奏はそんなことする子じゃないって思ったのに……。」


その言葉が私の心を突き刺した。

私はただひたすら「ごめんなさい…ごめんなさい…」と言い続けた。

「ごめんなさいだけじゃ済まされないことなの!!!ママまで怒られちゃったじゃないの!!!」

私の頬に何かが。私はそれを瞬時に避けた。

足の方にも何かが。それも避けたんだ。

「何避けてるの!!!!」

バシッ。

頬を殴られた。

ドンッ。

足を蹴られた。

それを何度も繰り返され、私の体はボロボロだった。

「いい?奏!次やったらもう家の子じゃないよ!ママを傷つけないでっっ!」


そう言って去っていった。


「……あぁ…うあぁあぁ……。うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

言葉に出来なかった想いがついに零れだした。

そう。私のクソみたいな人生はここから始まったのだ。

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