35話 苦い勝利
「まだだ……。まだ終わってはいない!」
魔王はまだ諦めていなかった。
「往生際が悪いぜ」
「黙れ!貴様らのような雑魚に負けてたまるか!我はもっと強くなって必ずこの世界を支配するのだ!」
魔王はそう言いながら両手を掲げる。
すると突然地面に亀裂が入り、その隙間から光が漏れ出した。
「まずい!みんな逃げろ!」
俺は咄嵯に皆に声をかける。
だが既に遅かったようで、俺達全員が光に包まれた。
「くっ!」
俺の視界が光で一瞬閉ざされた。
そして再び目を開けるとそこには魔王はいなかった。
「逃げられたのか」
俺はつぶやく。
『そのようです。ですが魔王が再び力を取り戻すには途方もない年月がかかるはずです。これで魔物の動きも鎮静化します。私達が勝ったんです』
「そうだな……」
俺は少し複雑な気持ちだった。
魔王は倒すべき敵だ。でも、それと同時に人間側の被害も出てしまった。
できれば魔王にはこのまま復活して欲しくないな……
俺はそんなことを思いながら空を見上げた。
「よし。それじゃあ帰るとするか」
俺はそう言って振り返る。
「うん!」
「そうですね!」
「あぁ、帰ろう」
「はい!」
俺達は転移の魔法を使い、王都へと戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます