34話 必殺! 合体魔法!

サラとエルザは少し離れた所で戦っているが、ルーナは少し距離が近い。


「ルーナ。少し離れていてくれ」


『わかりました』


「どうした?降参でもするか?」


「そんなわけないだろう」


「ならさっさとかかってこい」


「言われなくてもいくさ!」


俺は剣を構え直す。


そして剣に魔力を流し込む。


「剣技・雷光斬!」


俺はありったけの力を込め、魔王に向かって振り下ろした。


その一撃は凄まじく、轟音と共に辺り一面を吹き飛ばした。


「やったか?」


煙が晴れる。そこには無傷の魔王の姿があった。


「今のは中々の威力だったが、残念ながら私には通じないようだな」


「なんてやつだ……」


まさかここまでとは……


俺の全力の攻撃を受けても傷一つ負わないとは。


「さあ、そろそろ終わりにするぞ」


魔王はそう言うと両手を広げる。


すると地面から黒い魔力が立ち昇ってきた。


そしてそれが次第に集まり人型を形成していく。


やがてそれは巨大な悪魔へと変貌する。


「なんだよこれ!」


あまりの光景に思わず声が出る。


「これが魔王の力よ」


「マジか……」


「行け。奴らを蹂躙しろ」


悪魔は雄叫びを上げ、こちらへ向かってくる。


「サラ、こっちに来い」


俺はサラを呼ぶ。


「わかったわ」


「よし。それじゃあ、やるぞ」


「えぇ」


「「合体魔法!!」」


俺は右手から、サラは左手からそれぞれ違う属性の魔法を放った。俺は火、サラは水だ。


二つの魔法が混ざり合い、強力な一つの魔法のようになる。


「「融合魔法・煉獄火炎球!!!」」


俺達は同時に叫ぶ。


すると炎の塊が発射された。


それは一直線に進み、悪魔の体を焼き尽くす。そして跡形もなく消し去った。


「バカな!?」


魔王は驚きの声を上げる。


「これで終わりだ!」


俺は剣を握りしめ、魔王に斬りかかる。


「させるかぁ!」


魔王は手を前に突き出すとそこから闇を放出し、俺の剣を受け止める。


「お前の相手は俺だ」


「くっ!離せ!」


俺はなんとか引き剥がそうとするが離れない。


「消え去れ!」


魔王はさらに闇の出力を強める。


俺はそれに抗うことができず、どんどん力が抜けていく。


「クッ……ソォオオオッ!!!」


俺は力を振り絞り、剣を握る手にさらに力を込める。


すると徐々にではあるが、魔王の闇を押し返していく。


「な、なんだと!?」


魔王は動揺している。


俺はそのまま押し返し、魔王の腹を突き刺す。


「グハッ!」


魔王は吐血し、よろめく。


「今だ!やれっ!」


俺がそう叫ぶと後ろから三人が飛び出してきた。


「任せて!」


「行くです!」


「承知!」


三人ともそれぞれの武器を魔王に向けて構える。


「「「合体奥義・天翔斬波!!」」


エルザとルーナの攻撃が合わさって魔王を襲う。


「グアァアアッ!!」


魔王はそれを防ぐこともできず、直撃を受ける。


魔王はそのまま倒れ伏した。


「勝ったのか?」


「多分ね」


「やりました!」


「お見事!」



俺達が勝利に浸っていると、魔王がムクリと起き上がる。



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