第7話 魔剣の実力


(オーガ......)


 はっきり言って、いい印象が無い。セナと戦った時、俺はオーガに殺されかけた。それが頭によぎってくる。


(クソ)


 それも、今回は二体。アイラが加わったとしても、勝てる自身が湧いてこなかった。


 俺がそう考えていると、セナが尋ねてくる。


「ダイラル、どうする?」

「あ、あぁ......」


(どうするか......)


 アイラの実力が分からない以上、一人で戦わせるわけにもいかない。でも、オーガ二体に対して三人で戦うのは分が悪すぎる。


 だとすると、俺かセナのどちらかがオーガと一対一をしなければならない。


(そう考えると、俺だよな......)


 セナは近距離で戦う向きではない。それに、俺とアイラが手を組んで戦ったところで、うまく合うとも限らない。


 なら、昔から付き合いがあるセナとアイラに戦ってもらって、俺は時間稼ぎをすればいいと思った。


(まあ、魔眼があれば時間稼ぎぐらいはできるだろう......)


「俺が一体のオーガと戦うから、二人はもう一体のオーガと戦って」

「それだと、ダイラルが......」

「わかってる。倒そうとするわけじゃない。時間の稼ぐだけ。だから、二人はできる限り早くオーガを倒して、俺に加勢をしてほしい」


 俺の言葉に二人は頷いた。


 そして、俺たちは少し距離を取って、オーガと戦い始めた。


 まず最初に攻撃を仕掛けて来たのは、オーガであった。俺に向かって、炎玉かえんだんを放ってこようとしてきたため、俺は魔素の乱れが無い場所に移動して避ける。


(これなら、時間稼ぎができる)


 今の攻撃を受けるまでは、魔眼を使いこなせるか自信が無かったが、難なくこなすことが出来たため、不安が確信に変わった。


 その後も、オーガは距離を取っている場合は炎玉かえんだんを放ち、近距離になった際に殴りかかってくる。


 だが、それも一回戦ったことがあったことから、前よりも苦戦しなかった。


(これなら、オルドさんからもらった魔剣を使ってみるか)


 俺は腰の剣を引き抜いて、オーガの方へ向ける。


 そして、オーガの打撃攻撃を避けた後に魔剣で腕を斬る。前とは違い、腕がすんなりと斬り落とすことが出来た。


 すると、オーガは叫びだしながら、俺に炎玉かえんだんを放ってこようとしていた。


 その時、なぜか俺は魔剣に魔力を込めると、炎玉かえんだんの魔素が魔剣に付与されて、魔法は不発に終わった。


 それと同時に、魔剣には炎の膜が現れ始めた。


(これが、魔剣の力なのか?)


 俺はそう思いながらも、この機を逃さないようにオーガに斬りかかった。


 魔剣がオーガの胸元を斬りつけた瞬間、体中が燃え始めて数秒もしない内に焼け焦げてしまった。


(魔剣の力......)


 目の前で起きた光景に唖然としてしまった。なんせ魔法を付与させることは、辺り一帯にある魔素を使ってできることであった。だけど、今回はオーガの魔法を利用したのだから。


 そう思っているが、すぐさま我に返ってセナたちの方を向く。すると、セナの魔法でアイラを援護しており、オーガを圧倒している状況であった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る