第5話 新しい武器


 公爵家の中に入ると、目の前には今まで見たことのない馬車が置いてあった。


「すご......」

「ね。私の家でもこんなの用意できないよ」

「そ、そうなんだ」


 俺とセナが驚いていると、アイラたちがこちらへ近寄ってきた。


「これに乗って向かお」

「う、うん。でもこんなに豪勢なものを貸してもらってもいいの?」


 首をかしげながら尋ねると、オルドさんが言った。


「最初にも言ったが、公爵家が全面的に支援するのだから、これぐらいはさせてくれ」

「あ、ありがとうございます」

「それにダイラルくん。公爵家が他国に出向くというのに、馬車などの質が悪いというのもよくないことだぞ」

「そ、そうなのですね」


 俺は貴族じゃないからそういうことはよくわからない。でも、オルドさんの言う通り、国通しのトップが合う際に、身なりなどが悪いのはよくないのかもしれない。それこそ俺たちがやってしまうと、ライベルトの質が落ちているといわれてしまう恐れもある。


「それでだが、ダイラルくんは剣を使って戦闘をしているんだよね?」

「はい。魔法も使いはしますが、ほとんどが剣ですね」

「それなら、これを使ってくれ」


 オルドさんはそう言いながら、執事が持っている剣を渡してきた。


「え、いただけるのですか?」

「あぁ」

「でも、そこまでしていただかなくても......」


 そう。馬車を貸していただけるだけでも、感謝しているのに剣までもらったら、お礼なんてできない。


「いいんだ。これは私からのお礼だとでも思ってくれ」

「お礼?」

「あぁ。君はアイラやカルアを助けてくれたんだ。これぐらいはさせてくれ」

「え......。お礼なんて大丈夫ですのに」


 前にも言ったが、お礼をもらうためにアイラたちを助けたわけじゃない。


「そうはいってくれるのはありがたいが、こちらとしても面子が立たない。だから、受け取ってくれ」


 俺はオルドさんに半ば強引に武器を渡された。そのため、恐る恐る布に隠されている剣を開けて、見てみる。


「!!」


(なんだこれは......)


 剣の周りから魔素が飛び回っており、輝かしい光沢をしていた。


「これは、世界で七本しかないといわれている魔剣の一つ。君なら使いこなせるだろう」


(こんな代物をもらっていいのか......)


 魔剣を目の前にして、受け取ることを躊躇してしまったが、全員の顔を見て素直に受け取ることにした。


「あ、ありがとうございます!!」


 俺がそういうと、オルドさんは満面の笑みで頷いてくれた。


「じゃあ、明日から出発するということから、今日は御馳走を食べようじゃないか」


 その言葉に、アイラやセナは喜んでいた。


「はい」


 その後、公爵家の食卓に招待されて、全員で夕食を取った。


 そして、俺たちは各自用意されている部屋で就寝しようとした。その時、俺は魔剣をもう一度見る。


(本当にすごい剣だ)

 

 ハリーが持っている剣以外でこんなに魔素が飛び交っている剣を見たことがない。


「俺はこれを使いこなすことができるのか?」


 そう思いながらも、魔剣と睨めっこして、すぐに明日のことを考えて就寝をした。

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