第3話 挨拶とお礼
「セナにダイラルさん、本当にありがとう」
そういいながら、頭を下げてきた。
「うん。でもね、私は当然のことをしたと思っているから、そんなにかしこまらないで」
「え?」
「だって、アイラも私が同じ状況に陥っていたら助けてくれるでしょ?」
その言葉にアイラ様は頷いていた。
「だったら、ありがとうでいいじゃない。それでも気持ちの整理がつかないなら......」
そういった瞬間、俺のほうを向いてきた。
「私とダイラルが危険な状況になったとき、助けてくれればいいよ。それでお互い様じゃない?」
「そ、そうね」
すると、アイラ様は俺のほうを向いてきて言われる。
「ダイラルさんも本当にありがとう」
「はい」
「そこで、ダイラルさんには一つお願いがあります」
「何ですか?」
俺は首をかしげながら尋ねた。
「セナと同様にダイラルと呼んでもいいですか?」
(そんなことか......)
かしこまって言われたから、もっと重要なことだと思った。
「いいですよ!!」
俺の言葉に、アイラ様は胸をなでおろしていた。
「それで、ダイラルも私のことをアイラと呼んでもらえない? 出来たら敬語もなくしてほしい」
「......」
その言葉に俺は戸惑ってしまった。
なんせ、アイラ様はセナ同様に貴族である。それも公爵家という国内トップの貴族。そんな人を呼び捨てで敬語もなくせというのは難しいと思った。
俺が返答を考えていると、アイラ様は不安そうな表情を浮かべながら言う。
「だ、だめですか?」
「え、えっと......」
しどろもどろでそういうと、セナが俺のほうを向いてくる。
「ダイラルの気持ちはわかるよ。私だってそうだったもん。でもね、アイラの気持ちも考えてあげて」
俺は首を横に傾げた。
(アイラ様の気持ち......)
「アイラはダイラルのことを対等に話したいの。でも、呼び捨てでもなく、敬語もされているとどうしても距離が生まれてしまう。それは、対等とは言えない。だからこそ、呼び捨てで呼んでほしいと思っているだろうし、敬語もなくしてほしいんだと思う」
(そういうことか)
俺がアイラ様の方を向くと、少し顔を赤くしていた。その表情を見て、俺は少し後悔をした。
こんなこと、すこし考えればわかることじゃないか。対等に接していきたいのに、相手は距離をとってくる。
それは、やられる側からしたらものすごく悲しいこと。俺がもし同じことをされたら、悲しいと思ってしまうのだから。
「アイラ、ごめんな。これからは敬語とかをやめるよ」
俺がそういうと、アイラはパットした表情を浮かべた。
「ありがと!!」
(よかった)
アイラの表情を見てホッとした。すると、セナが満面の笑みで言う。
「じゃあ、自己紹介をもう一回しよう!! 私は子爵家次女のセナ・ミルカ、よろしくね!!」
「俺はダイラル・エルボです」
「公爵家長女のアイラ・バウリン。よろしく」
「じゃあ、これからのことを話そっか!!」
「うん」
「あぁ」
セナの言葉とともに、俺たちは次向かうアズル国への相談を始めた。
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