第2話 デットワルツとは


「やっぱり、ダイラルくんも知っているか」

「はい」


 この世界でデットワルツを知らない人は誰もいないだろう。なんせ、二年前に、デットワルツの所為で一国が滅ぼされたのだから。



 あれは、俺がまだ勇者パーティに加入する前。ライベルト国内が騒がしくなり、辺りにいる人へ尋ねる。


 すると、ここから少し離れた場所にあるアースド帝国が壊滅したとのこと。


 その話を聞いて、最初は驚きを隠しきれなかった。


 アースド帝国とは、小規模な国ではあるが、武力がものすごく高いということで有名であった。


 人数なんて関係ないほどの武力を持っており、実際に倍以上の人数がいる国と戦争をした時も、引き分けまでもっていっている実績があった。


(そんな国が滅びるなんて......)


 だが、噂をきちんと聞いて行くと、驚きは増すばかりであった。なんせ、アースド帝国が滅ぼされた原因は、国が介入しているわけではなく、ただの殺人集団が起こしてできたことなのだから。


(何なんだ。デットワルツとは......)


 ここから、一気にデットワルツの名が有名になっていった。どのような方法を使ったかは分からないが、一刻を滅ぼすだけの策略と戦力があるということを示したのだから。


 それだけでも、デットワルツの名は世界中を恐怖に陥れるには充分であった。



「それでだが、ダイラルくんたちにはデットワルツの調査を頼みたい」

「......。それは俺たちに出来ることなのでしょうか? もっと、最適な人が居ると思うのですが」


 はっきり言って、今の俺たちには荷が重すぎる内容であった。一国を滅ぼすほどの戦力に対して、俺たちはたかが三人。


 調査したところで得られるものは無いと思うし、三人とも殺される可能性だってあるかもしれない。


「そうだな。だから、宮廷の情報屋もデットワルツのことを調査してもらうつもりだ。だが、ダイラルくんたちにしかできない仕事もある」

「え?」


 俺たちは首を傾げた。


「まず、私たちはデットワルツの二人を目撃している。特に、ダイラルくんはその一人と戦っているし、倒しかけるところまで至っている。それは、貴重な情報だ」

「......」

「だが、情報屋は目撃したことが無いと思う。だから、ダイラルくんたちには情報屋で得られた物を渡しながら、独自のルートでデットワルツを探してほしい」

「わ、わかりました。でも、それはできることなのですか?」


 そう。はっきり言って、ここ数年でデットワルツが有名になったが、内部情報が出回ることなんて滅多になかった。


 それに加えて、今回の一件みたいに公爵家や王家などにデットワルツの一員が潜んでいる可能性がある。


 そんな中で、探ることが出来るとは思わなかった。


「それは大丈夫だ。情報屋から一つだけ渡されたものがある」


 オルドさんはそう言いながら、一枚の紙を渡してみた。


 それは、隣国---アズル国の第二王子を暗殺しようとしている内容であった。


「アズル国に行くのは良いとして、第二王子とはどうやって会えばよろしいでしょうか?」

「それはアイラを使ってくれ。アイラと第二王子のツコルくんは知り合いだから」


 その言葉を聞いて、俺はすぐさまアイラ様の方を向く。


「えぇ。ツコルンとは知り合いだから、会うことはできるよ」


(ツコルンって......)


「わかりました。では、三人で日程を決めてアズル国へ向かいたいと思います」

「頼んだ」


 話が終わり、オルドさんは客室を出て行った。その時、アイラ様が俺たちに話しかけてきた。

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