第1話 依頼の元凶
俺とセナは、オルドさんに呼び出されて公爵家へ向かった。
「どんな依頼内容なんだろうね」
「そうだね。さっぱり分からない」
大まかには、アイラ様を昏睡状態にさせた元凶を突き止めることになっているが、細かい内容までは知らなかった。
(でも、そこそこ大事の依頼ではあるよな)
そう。今回、公爵令嬢のアイラ様がこんな状態になってしまった。それは、ハッキリ言って公爵家レベルなら呪具を取り付けることが出来るぞということだ。
「まあ、行ってみれば分かるよ」
「うん」
その後、俺たち二人はこの一ヶ月半で何をしたのかを話し合った。
そして、あっという間に公爵家へたどり着くと、オルドさんが俺たちを出迎えてくれた。
「ダイラルくんにセナちゃん。中に入って」
「「ありがとうございます」」
言われるがまま中に入ると、そこにはアイラ様にそっくりな女性が立っていた。
「セナちゃん、久しぶり」
「お久しぶりです。カルアさん」
(アイラ様のお母さまは、カルアさんって言うのか......)
「うん。それでそちらが、噂のダイラルくん?」
(噂のってなんだ?)
俺はそう思いながら、頭を下げて自己紹介をする。
「ダイラル・エルボと申します。よろしくお願いいたします」
すると、カルアさんが頭を下げてお礼を言ってくる。
「本当にありがとう」
「え......」
「まず、アイラを救ってくれてありがとう。そして、私も助けてくれてありがとう」
「いえ、当然のことをしたまでです」
そう。困っている人が居たら、助けるのは当然のことだ。前回の一件は、運がよく俺の魔眼が役に立っただけ。でも、助けられる力を持っているなら、使うのは極自然なこと。
「それでもよ」
そんな会話をしている時、オルドさんが俺に話しかけてくる。
「せっかくのところ悪いが、本題に入りたいから客室に来てもらってもいいかな?」
「はい」
俺とセナはオルドさんの後をついて行った。
(そう言えば、アイラ様はどうなったんだろう?)
あの時、リハビリが終わったら一緒に冒険をしたいと言っていたけど、今いないってことは、リハビリが終わらなかったってことなのかな。
だとすると、少し悲しいな。そう思いながらも、客間に入ると、案の定アイラ様はいなかった。
「ちょっと待っててくれ。今お茶を出すから」
そう言って、オルドさんはメイドにお茶を頼んだ。
そこから、数分程軽い雑談をしていると、扉が開く。
(メイドが来たのかな?)
俺は扉の方を振り向くと、そこにはアイラ様が立っていた。
「久しぶり。セナ、ダイラルさん」
その言葉に、セナが立ち上がりアイラ様に抱き着いた。
「アイラ!! 治ったのね」
「うん!!」
すると、オルドさんが咳ばらいをして、言った。
「これから依頼内容を説明するから、アイラも座りなさい」
「うん」
アイラ様が椅子に座ったタイミングでメイドさんが中に入って来て、テーブルにお茶を置いた。
それを確認したオルドさんは、深呼吸をした後に話し始めた。
「まず、セナちゃんにダイラルくん。見た通り、アイラは完治したから一緒に冒険に連れて行ってあげてほしい」
「はい」
「わかりました」
俺はアイラ様の方を向くと、笑顔で返された。
「それで本題だが、今回の依頼は公爵家が全面的に援助することが決まった」
「......」
俺はその言葉に驚きを隠しきれなかった。公爵家が全面的に支援するということは、それだけ今回の依頼が重大だということなのだから。
「私もいろいろと調べてみたが、分かったことが一つある」
(何だろう?)
「今回、アイラを眠りにつかせた元凶は、デットワルツが関わっている」
「え......」
俺は絶句した。なんせ、デットワルツとは、全種族が指名手配している殺し屋集団なのだから。
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