2章 元凶
番外編 勇者パーティの現状
なんで、なんでこんなに敵が強いんだ。
俺たちは国王からの依頼で、指定難易度B級の場所に来ていた。
(ここ最近、何かがおかしい)
モンスターが魔法を放つタイミングは分からないし、カバーしてほしいタイミングでカバーしてもらうことが出来ない。
これが、モンスターの質が上がったからなら分かるが、今居る場所はBランクモンスターがうじゃうじゃ居る場所。
はっきり言って、今までBランクモンスターに遅れをとることなんてなかった。
「おいリバルとマリア、手を抜いているんじゃねーだろうな?」
「抜いているわけないだろ」
「そうよ、手を抜く意味が無いじゃない」
「だったら、なんで俺がカバーしてほしいタイミングで駆けつけてこない。マリアもモンスターが魔法を放つタイミングを教えてくれたっていいだろ」
俺がそう言うと、マリアとリバルは怪訝そうな表情をした。
「駆けつけてほしいタイミングなんて分かるわけがないだろ」
「モンスターが魔法を放つタイミングが分かれば、苦労はしないわよ」
「は?」
そこで、ふと思い出した。そう言えば、カバーしてほしいタイミングで駆けつけてくれていたのはダイラルだ。それに加えて、魔法が来そうなタイミングを教えてくれていたのもダイラルだった。
(もしかして、あいつは無能じゃなかった?)
いや、そんなわけがない。あいつは無能だ。今の戦闘だって、リバルの方がモンスターを倒している数は多いし、マリアの魔法で支援だってしてくれている。
「ま、まあいい。次からカバーやタイミングを教えてくれ」
俺がそう言うと、リバルとマリアは怪訝そうな表情を崩さずに頷いた。すると、アクルが言う。
「皆さん、喧嘩はやめましょう。私ができる限り頑張りますので」
「あぁ」
(こいつもこいつだ)
ダイラル以上には役に立っているが、意味も分からず俺たちの目の前から消えたりする。
それに一番分からないのが、こいつがどうやってモンスターを倒しているかだ。何度か見たが、一瞬にしてモンスターを殺していた。
それを聞いても、いつも秘密ですの一言で終わらせられる。
「はぁ~」
俺はため息をつきながら、休憩に入る。
(これも、すべてはダイラルが悪い)
あいつが有能であったなら、今までのメンツで戦うことが出来た。だが、眼は気色悪いし、実力も無い。
はっきり言って、勇者パーティに入れたこと自体が失敗だった。
(あいつさえ、いなければ)
まあいい、あいつは無能だ。今頃、低ランクモンスターを倒して喜んでいるに決まっている。
もしかしたら、あの女と一緒にクエストを失敗しているかもな。
俺はそう思った瞬間、アクトが何がぼそぼそと話しているのが聞こえた。
「何か話しているのか?」
「いえ、なんでもありません」
「そ、そうか」
(こいつ、何考えているか分からないな)
そう思いながらも、魔王を倒す算段を考え始めた。
この時、勇者パーティが地に落ち始めていることを、誰も知るよしが無かった。
※
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