第54話 ドローデルの街

冬が終わると、雪はあっさりと解けてしまい、領主様とガンツさんが王都へと向かっていった。俺はそれを見送ってからドローデルの街へと出発した。


ドローデルの街は隣街ではあるがその間に小さな町がいくつかある。そこで商売を行いながら十日かけてドローデルの街に到着する予定だ。


馬車は二台準備しており、それぞれ護衛にはマシンガンを携帯させている。これは領主様からのお願いで先発隊としてマシンガンを使う実地訓練をさせて欲しいというものであった。


王様の確認も取らずに兵装を変えても構わないのか心配になり聞いたのだが。


「兵士の装備は街で決めるように指示されているからマシンガンを持っていても平気だよ」


とのお言葉を頂いた。


もちろん最初の頃から護衛についてもらっているザッツ、ゲイル、ナターシャ、ミリアナの四人にもマシンガンは支給された。


これにより戦闘力は格段に上がったのだが、敵を見つけると真っ先にマシンガンを撃つため、弾の消費がすごかった。


そのため、一日目で話し合いをして往復分の弾を計算して一日に使用する弾の上限を決めた。それで何とか落ち着いたが、マシンガンを撃ちたいのかうずうずしている兵士が一人いたためその人から目を離せないようになってしまった。


三日目に最初の町についたのだが、俺たちが町に入った途端に賄賂を請求されるという腐りきった町であった。こんなことをしている町だから自然に商人がいなくなって崩壊するだろうと思い出ていこうとすると、兵士二十人に囲まれていた。


これは緊急事態としてマシンガンの発射許可を出すと、一瞬で皆殺しにしてしまった。


こうして兵士たちの死体をストレージに格納して、町の中に入り不正の証拠を探し出すのに時間を大幅に使ってしまった。


他の町ではそんなことは起こらず、ちょこちょこと商いをしてドローデルの街を目指す。


結局、最初の町で時間を取られてしまったのでかかった日数は十三日。それで何とかドローデルの街に入ることができた。俺はドローデルの街の領主邸に赴き、書状を執事さんに渡す。


「お初にお目にかかります。私はカイトという行商人です。これはユーステリアの街の領主様からの手紙です。おそらく返事が必要になるかと思われますので泊まるところが確保でき次第、ご連絡に伺います」


「待ってください。カイト様。宿泊先はこちらで確保させていただきます。お客様に宿を取らせるなどできません。ですが貴族街に滞在してもらうことは残念ながらできませんので、商業区に家を一軒準備いたしますので少々お待ちください」


こうして俺たちは、ドローデルの街での滞在場所を提供してもらうのであった。

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