第50話 取り扱い(マシンガン)

三日のうちにガンツさんと打ち合わせをするつもりであったがそんな暇がなかった。


それはムスタル男爵から話を聞きつけたという貴族の相手でモーモーの肉を卸すのに時間がかかってしまったからだ。ムスタル男爵には後日、申し訳ないとの手紙を預かった。


何とか三日後までにモーモーの肉に群がる貴族をさばききり、ガンツさんとゴンズさんを馬車で迎えに行くことができた。前もって時間と迎えに行くことだけは使用人を使い伝えておいたので準備を終えて待っていてくれた。


「それにしても急すぎるわい。一度カイト相手に話し合いをしなければならんと思ったのにいきなり領主様に会わせるとはどういう了見じゃ?」


そんなことを言われながら俺はガンツさんにこめかみをぐりぐりされている。それを見てゴンズさんはただ笑っていた。


「僕も事前に打ち合わせをしたかったのですが貴族たちの相手で時間が全く取れなかったのですよ」


それを話したときにぐりぐりの刑を逃れた。


「まあ、カイトの能力はあやかりたいものが多いからの。詳細はばれないように気を付けるのじゃぞ。最悪、誘拐されて道具扱いにされるぞ」


「それは分かっていますが、信用と言うものはなかなか得られないものでして」


そんな話をしているうちに領主の館へ到着した。館の門ではいつもの執事さんが待ち構えており部屋へ案内してくれた。


通されたのは謁見の間でも執務室でもなく鍵のついた謎の部屋だった。


「カイト君。これからする話はできるだけ聞く人物を限らせないといけないんだよ。それ分かっているのかな?」


そう言われてこの部屋を選んだわけは納得したが、兵士が数人しかいないこの場に初めて会う人を連れ込んでもいいのかとも思ってしまった。


隣を見るとガンツさんとゴンズさんは膝をつき領主様に敬意を表していた。何気なく立っているのは俺と領主様だけでガンツさんにいたっては俺を睨みつけている。


「顔を上げて構わないよ。それで早速だけれど新しい拳銃とやらについて説明をしてくれるかな?」


その言葉を聞きガンツさんが一歩前に出る。


「カイト、マシンガンを一丁出せ」


俺は素直にマシンガンをストレージから出す。兵士たちは驚いていたが口を開くものはいなかった。


「これが拳銃を改良して作成したマシンガンと言う武器です。拳銃との違いは連射力。弾は拳銃とは別に専用の物を作らなければなりませんが威力は弓より上です」


「これを兵士に撃たせてみても構わないかい?」


俺たちは頷き、一番きれいな鎧を着た兵士がマシンガンを丁寧に受け取る。


「使い方は銃口を的に向けて引き金を引くだけです。銃口が跳ね上がるような反動がありますが筋力で抑えることができると思います」


「では、撃ってみてくれ」


マシンガンを持った兵士は深呼吸をした後、用意されていた鎧に向かってマシンガンを撃つ。


以前は鎧を貫通することは難しいと話していたが、鎧にはいくつもへこみができており、何回も命中したと思われる個所には穴が開いていた。


その光景に領主様と兵士たちは口を開けて次の言葉を出せずにいた。

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