第47話 試射(黒魔銃)

俺はガンツさんたちに連れられ、街の外に出た。そこで一丁の銃を手渡される。


「こいつは完全黒魔鉄製の拳銃じゃ。重いから気をつけい」


俺は持った瞬間あまりの重さに落としてしまい、足の指に直撃した。


「うおーーーー。ちょっとガンツさん渡す前に言ってくださいよ」


「すまんすまん。で扱えそうかの?」


「無理ですね。重すぎます」


「じゃろうな。そう思っとったわい。次はこれじゃ。要所に黒魔鉄を使用して重量を下げておる。黒魔鉄に魔法陣を書きこむことで反動軽減、銃身に使うことで摩耗の軽減を実現しとる」


「これなら何とか持てそうです。取り回しには苦労しそうですが。ちなみに撃ってみても構いませんか?」


「構わんぞ。ちなみに弾はウルフの牙を詰め込んでおるから威力が従来の物よりも上がっておる。ちょうどあそこに岩があることじゃし、あれを狙って打ってみい」


狙うのは十メートル先にある岩、今までなら岩に弾かれておしまいだったが今回はどうなのかちょっと楽しみなっていた。


「バァン」


と音が鳴り真っすぐ岩に向かって銃弾が飛んでいく。そして岩の一部を貫通してしまった。


これには俺は何が起こったか分からず岩を確認しに行く。ガンツさんとゴンズさんも予想外だったのか結果を確認しに着いてきた。


「これ、岩を貫通していますよね・・・」


「ああ。貫通しとるの」


「少し威力を上げすぎじゃないですか?」


「じゃが、反動は以前のままじゃっただろ」


言われてから気づいたが、確かに銃弾を撃った反動はいままでとそう変わりなかった。


「確かにそうですね。これなら甲冑でも貫通できるのではないですか?」


「それは無理じゃろ。関節部分ならあるいはいけるかもしれんが鉄と岩じゃ強度が違う。それにこの岩が風化しとっただけかもしれんしの」


「そうですね。実際に鉄板を撃つわけにもいきませんし。実戦で確認してみることにします」


「そうじゃの。では次はマシンガンじゃ。こちらにも黒魔鉄を要所に使用して銃弾を撃った後の跳ね上がりを抑えるように作ってある。試しに撃ってみてくれ」


俺は少し緊張しながらマシンガンの引き金を引く。弾は四発発射され銃口は少しずつ上に上がるが前よりはそれが少なくなっていた。


「カイトはやはり筋力不足じゃの。まあ十歳という年齢を鑑みれば仕方がないことじゃがの」


「筋力不足はこれから鍛えるとして、マシンガンは拳銃に比べて威力が落ちている気がするのですが、何か理由があるのですか?」


「単純に弾の大きさの問題じゃ。魔力素材が魔法陣の威力に作用することが分かったからの。弾のサイズが大きければそれに加えられる魔力の総量と魔法陣の数が増えるから威力が上がるといった理由じゃろ。それは今後、要研究じゃな」


「それじゃ。最後に一発、新弾薬の榴弾を打ち込んで終わるか」


「はい。狙いはあの岩でいいのですよね?」


「ああ。撃て」


その合図で榴弾を撃ったのだが反動に耐え切れずに尻もちをついてしまった。起き上がり岩を見てみると岩の一部が爆散しており、残った部分にも鉄の破片が突き刺さっていた。

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