第45話 新装備

前回、鍛冶屋に行ってから二日が経ったので進捗を確認しに向かう。受付にいたのはゴンズさんだった。


「お邪魔します。ゴンズさん、早速ですが新しい弾はできましたか?」


「ああ、カイト君。いらっしゃい。その話は中でしようか」


そう言われて工房の中に入ると鉄や石炭の数が少ない。これはいつものやつかと思い裏口を覗いてみるとやっぱり荷物が積んであった。


「先にこっち片付けちゃいますね」


「ごめんね。本当は弟子たちと力を合わせてやるつもりだったんだけど、あの黒魔鉄が面白い発見があってね。親方がそっちに人を取っちゃったんだ」


そんな話を聞きながらストレージにしまいこんで、工房の中に荷物を出すだけの作業を終えた。


「本当に便利なスキルだね。じゃあまずは親方のところに行こうか」


そう言ってガンツさんのところに向かうと本当に何人もの弟子を使って黒魔鉄を加工しているところだった。


「おとうさん」


「馬鹿野郎。工房内では親方と呼べって言ってんだろうが。ってカイトじゃねーか。来てるなら呼べよ」


「親方は熱中すると何も聞こえなくなるから呼んだんだよ」


「すまねぇなゴンズ。でどこまで話した?」


「まだ何も」


「じゃあ、俺から話すか。黒魔鉄だが加工に成功した。加工方法は知りたいか?」


「いいえ。これからもガンツさんにお願いすると思いますので、明確に拠点を移すことを決めない限りは聞かないでおきます」


「それなら儂も着いていきそうだから心配いらねぇな。がははは。それで黒魔鉄で作った拳銃がこれだ。重量は普通の拳銃より重いが、反動がその分減っている」


「銃口が少し大きくなっているのは何故なんですか?」


「それはゴンズから説明する」


「じゃあ説明するね。まず通常の弾なんだけれど中に魔法陣だけではなくて魔力を含むもの。例えば魔物の骨粉なんかを混ぜると魔法陣の威力が上がることが分かったんだ。それで中に骨粉を仕込む関係で銃弾が少し大きくなったからそれに伴い銃口も大きくしたってわけ」


「では魔物の素材が足りなくなったんじゃないですか?オークの骨なら大量にありますから置いていきましょうか?」


「それは帰りに頼むよ。それともう一つ、新しい弾。カイト君が榴弾って呼んでいた弾だね。それが完成した。感電弾にも言えることだけれど魔鉄ではなくて魔物の素材を含んだ鉄で魔鉄の代用ができたんだ。だから今まで以上に効果の高い弾を使えるようになったよ」


「今までメリットしか話していませんけれどデメリットはないのですか?」


「それは拳銃に使用する黒魔鉄が圧倒的に足りないことだね。あと石炭の消費がかなり増える。石炭はカイト君から貰っている研究費でどうとでもなるけれど黒魔鉄は市場にも出回っていないからどうしようもなくてね」


「なら持っているだけ出していきますね。石切場で採掘された分を全部貰ってきたので。あとは採掘場で貰ってくるか買うしか入手方法は今のところないと思います」


「それはどういうこと?」


「石切場では黒魔鉄はごみとして放置されていたのですよ。何かに使えそうだったので貰ってきましたが話さない限りはごみとして捨てられるだけだと思いますよ」


その言葉に全員が何かを考えているようだった。

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