第39話 報告(マシンガン)

行商を終えて街に帰ってきたときには夕暮れ時だったためそのまま屋敷に帰った。そして次の日、ガンツさんのところへマシンガンの報告へ向かう。


「と言うわけでマシンガンの反動に耐え切れなくて弾道が上を向いちゃうんですよ」


「それはお主が筋肉を鍛えればいいだけの話しではないのか?」


「それはそうですけれど俺はまだ十歳ですからね。鍛えるにも限界がありますよ」


「うむ。火力はそのままに反動を抑える方法を考えろと言いたいわけじゃな」


「まあ、そう言うことです」


「なら考えるだけ考えてみようかの。それで、お主ウルク村の農具はいつ取りに来るんじゃ?もうそろそろ冬じゃろ?」


「ああーーーー」


「お主忘れておったな」


「でもウルク村では薪の支払いも十分にできていなかったですし、持って行っても取引できなかったですし・・・」


「まあ、商売はお主がする事じゃが在庫は引き取ってもらうぞ」


「はい」


「お主には銃の開発費を貰っておるからの。そこから天引きしておくわい。それでストレージに空きはあるのかの?」


「あるので引き取っていきます。そういやガンツさん。いい木工屋に伝手はありませんか?」


「何じゃ。藪から棒に」


「実はウルク村への道中でウルフが大量発生していまして馬車が何台も置き去りにされていたんですよ。それを改良してもらおうかと思いまして」


「残念ながら馬車を扱えるような木工屋は知らん。それこそ領主様にでも聞いてみたらいいじゃろ」


ここまでの長話の間に銃の点検を終えて、修理が必要な物はガンツさんが回収していった。そして新しく拳銃を補充してくれた。もちろん弾も確保した。


「それでは、今日は帰りますね。ああ。あとこれは今回討伐したウルフとフォレストウルフの魔石です。開発費は必要ですか?」


「いらん。魔石はありがたく受け取っておく。ほれ帰るのじゃろう。さっさと行け。商売の邪魔じゃ」


そう言われては長居もできないのでさっさと帰ることにした。


屋敷に戻ると領主様の執事が尋ねてきており、なんだか嫌な予感がした。


「おかえりなさいませ。カイト様。実は領主様より直々に相談事を申し付かってまいりました」


「それでその内容とは?」


「カイト様は石切場が近くにあることをご存じでしょうか?」


「いいえ。初めて聞きました」


「そこに大量の石材があるのですが運搬できる商隊がいないのです。そこでストレージと言う貴重なスキルを持つカイト様に白羽の矢が立ったわけです。ストレージの使用は隠さなくて良く、給金も十分に出すとのことなので引き受けていただけないでしょうか?」


「ちなみにですけれど拒否権ってあるのでしょうか?」


「ありませんね」


どうやら次の行き先は石切場となったようだ。

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