第36話 マシンガン

次に行商の目的地はウルク村。行く前にガンツさんの鍛冶屋に斧の発注と拳銃の開発の様子を確認しに行くことにした。


今日は店番にお弟子さんが立っていたのでガンツさんを呼んでもらう。するとすぐにガンツさんはやってきた。


「おお。カイトか。ちょうどよかった。銃の新作が完成したぞ。その名もマシンガンじゃ」


「すごいです。で。どんな性能なんですか?」


「今までの拳銃は一発ずつしか打てなかっただろう。このマシンガンは三十発連続で弾を打てるように改良してある。その分コストがかさむがな。お前さんから貰った金貨を使い切ってしまったわ。がはは」


「じゃあ予算を追加しておきますね。金貨一枚でいいですか?」


「お前さん。意外に稼いどるのぅ。金貨一枚あれば一時持つじゃろ。今回のように新製品でも作らなければの」


なんだか不安になる一言だったが、その恩恵にあずかるのは俺のため何も言えなかった。


「それで仕事の話しなんですけれど、斧を作れるだけ作ってもらえませんか?とりあえず上限は九十九本で」


「儂は銃作りで忙しいからの、弟子たちにでも作らせておくわい。とりあえずマシンガンと銃弾をセットするマガジン、それと拳銃と弾じゃ持っていけ。あと拳銃はメンテナンス用に全部置いていけ」


そう言われたので俺はストレージから拳銃を全て出し、代わりに拳銃十丁とマシンガン十丁を格納した。


「では、俺は明日からウルク村に行商へ行きますのでその間に斧の作成をよろしくお願いします」


「ああ。その後で構わんからちょっと依頼を受けてくれんか?詳細は帰ってきたときに話すからな。まあ儂の依頼なんて鉱物の引き取りしかないんじゃがの」


「分かりました。じゃあ。また今度」


そう言って俺は鍛冶屋を後にした。次の予定なんてないため屋敷へと戻る。屋敷では行商の準備が進められており、俺が口を出すことなんてなかった。


「カイト様、次に向かうウルク村にはウルフが大量に出現します。対策を考えた方がいいと思うのですが」


とザッツが話してきた。


「俺は一度ウルク村まで行ったことがあるから問題ないと思うんだけどな」


「そうでしたが。ですが万が一のこともありますのでウルフ種の嫌う匂い玉をストレージに入れておいてください。普段から出しておくと匂いで気分の悪くなる人が出てくるのですが、カイト様のストレージはこんな時にも役に立ちますね」


この扱いに納得のいかない俺であったが、せっせと匂い玉を格納するのであった。

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