第34話 凱旋
翌日の朝、アデル村を出発することにした。騎士団も一緒にユーステリアの街に向かうようだ。これまで街に戻れなかったのはオークの運送が問題だったようでその問題も俺が解決したことにより街に戻れるようになったと言っていた。
帰り道は大人数だったため流石にモーモーは襲ってこなかった。そのため、順調に距離を進むことができ昼前にはユーステリアの街に到着することができた。
「カイト君。すまないがオークの上位種を出してくれないか?」
「構いませんよ。ちなみにあれ、ハイオークと言うらしいです」
「あれでハイオークなのか・・・」
グランツさんは遠い目をしていた。話を聞くにオークの上位種にはさらにジェネラル、キング、ロードといるらしくハイオークは結構頻繁に現れる種らしい。
そんなことを話している合間に検問が俺の番になった。俺は木箱の中身を見せて問題なしと判断され街の中に入る。続いて騎士団の検問の番になったのだが門兵が敬礼していた。
どうやら騎士団は検問を受ける必要がないらしく先頭の馬車にハイオークの死体を乗せて領主の館まで凱旋を行うようだ。
俺たちも後に続いて領主の館まで来るようにと言われた。領主様にお願いしたいこともあったのでちょうどよいとばかりに着いていくことにした。
騎士団が中央の道を通ると、近くに民衆が集まりハイオークの死体を見て騒いでいる。こうやって騎士団の力をしめしているのだろう。貴族街に入るまで民衆の列はできていた。
貴族街に入ってからは速度を上げ領主の館まで真っすぐ進む。館に到着すると既に領主様が庭で待っており演説が始まった。
「みんなよくやってくれた。これでアデル村にも一時は平穏が訪れるだろう。問題はあったようだがそれは後で処理するとして今日はゆっくり休んでくれ。ああ。カイトは話しがあるから後で執務室まで来るように。それでは解散」
場所は変わり執務室。そこには領主様と俺たちしかいない。初めに領主様が口を開いた。
「アデル村では村民の避難に、怪我を負った騎士団の治療、さらにはハイオークの討伐と大活躍だったみたいだね。何か報酬を与えようと思うのだけれど何か欲しい物でもあるかな?」
「それでは、傲慢だとは思いますがハイオーク、オークの魔石が欲しいです」
「それは何故かな。ハイオークの魔石は貴重だから。騎士団の装備を強化するのに使いたいと考えているのだけれど」
「同じ理由です。俺の拳銃の強化に使いたいと考えています。あとは魔法陣についても知識が足りないためドローデル街にもいってみたいとも考えていますが」
「ならドローデル街で魔法陣の良い使い方が見つかった場合はハイオークの魔石を譲ろう。オークの魔石は冒険者ギルドからでも手に入るから持って行っていいよ。それでドローデルの街にはいつ向かうつもりだい?」
「冬が空けたら向かうつもりです」
「それがいいだろうね。冬の間はこの街にいるんだろう?その前に君の力が必要になるかもしれないから少し予定を空けておいてくれ」
これで話は終わり、俺は屋敷に戻った。
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