第33話 遭遇

翌日の昼となり魔力茸五十本を受け取り、ヘキサ村を出ることにした。


「じゃあな。次来るときはたくさんの斧を待ってるぜ」


「あはは。ちゃんと対価は用意しておいてくださいね」


そんな他愛のない会話を挟みながら握手をした後馬車に乗り込む。すると馬車は進みアデル村へと向かった。アデル村へ着いたのは夕刻前。


既に撤退したかと思っていた騎士団はまだ残っていた。騎士団長のグランツさんは気軽に声をかけてくれたが他の数人はこちらを睨んでいる。


「団長。なぜ手柄を横取りした奴らと平然と話しているのですか?」


睨むだけではなくけんか腰にこちらを挑発してくるものまで出ていた。


「よし。この者達に不満がある物はこちら側に行け、ない物はその逆側だ」


グランツさんはそう言って騎士団の団員を二つのグループへ分けた。


左側のグループには俺たちのことを威嚇してきたメンバーが十五人程、右のグループにはオークとの戦闘で傷つき俺たちが手当てした人たちを含むメンバー二十五人程と言う風に分かれた。


グランツさんは左側のメンバーに対して話を始める。


「騎士団の目的はなんだ」


「それは市民を守ることです」


数人が声を揃えて言う。


「で。お前たちが威圧しているのは誰だ」


「商人です」


その言葉を言った人はグランツさんに殴られた。


「商人だろうとそれは市民だろうが。守るべき相手に罵声を浴びせてどうする。それも俺たちの手当てをして、危ないところを助けてもらった恩人に対してだ。


左側に分かれたお前たちは騎士団を除名する。再起を願うのであれば兵士からやり直せ」


除名を言い渡された人たちの中には涙を流す人もいたが、俺は同情する気にはなれなかった。


「ところでカイト君。申し訳ないのだが君のスキルについては領主様から聞いている。そこでオークの死体をユーステリアの街まで運んではくれないだろうか?もちろん報酬は払うぞ。領主様が・・・」


俺は笑いながらもその依頼を引き受けた。オークは既に一カ所にまとめてあるそうなのですぐにそこに向かう。オークの数は三十を超えており、その中でもひときわ大きなオークが流行り目を引く。


俺はそのオークたちを全てストレージに格納した。オークの上位種はハイオークと言うらしい。魔石が欲しいところではあるがそこは領主様に相談してみようと思った。


その後俺たちは村長の元へ連れていかれた。騎士団のメンバーはテントを持参しておりそこで休んでいるようだ。そのため村長宅には誰も止まっておらず俺たちの宿泊を快く了解してもらえた。

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