第32話 ヘキサ村
ヘキサ村へ着いた俺たちはまず村長の家へ案内してもらった。村長はまだ若い男性で筋肉だるまだった。
「それで行商をしに来たって?うちには木材しか卸せないけどそれでいいのかい?」
「はい。欲しいのは薪ですので渇いた木材であれば整っていなくても構いません」
「それで何を卸してくれるんだい?」
「今は肉が豊富にありますね。ここに来るまでにモーモーを大量に狩ることができたのでそれを提供することができます」
「そいつは助かる。この村では燻製っていう保存食が作れるからな。肉はあればあるだけいいんだ。他に野菜なんかはねぇのかい?」
「少しならありますよ。あと穀物も十分に貯蓄してあります」
「分かった。それらを取り引きしよう。この村では村長の俺が行商をまとめて行うことになっているから村人にはちょっかいを出さないようにな」
「分かりました。それではお手柔らかにお願いします」
そう言って俺と村長は握手した。
まず村の薪の在庫を聞くと木箱二十個だそうだ。
「モーモー三頭、野菜の木箱一つ、穀物の木箱一つでどうでしょうか?」
「肉の燻製を木箱一つ分つけるからもっとモーモーを増やせないか?」
「ではモーモーを二頭追加します」
「助かる。それでお願いする」
商談が成立したことで荷物の積み下ろしを行う。俺は筋力がなさ過ぎて役に立たないので監督役だ。必要な物以外は既にストレージに収納済みだったため何とか馬車に荷物を積み込むことができた。
「他に必要な物はありますか?次に来るときに仕入れてきますよ」
「なら斧を頼む。あればあるだけいい」
「分かりました。それでは僕たちは帰りますね」
「ちょっと待て。今から帰るのか?今日はもう遅いしこの辺りは熊が出る。危険だから泊っていけ」
「ではお言葉に甘えて」
「そう言えば森の植生はどうなっているのでしょうか?何か採取できるのであれば取っておきたいのですが?」
「すまんが村人以外が森に入るのは禁止なんだ。俺たちは森の恵みだけで生きているからな。村民以外の人間に森を荒らされて生活が成り立たなくなると困るからあらかじめ禁止しているんだ」
「そうですか?残念ですが仕方ありませんね」
「何か欲しい物でもあったのか?」
「魔力茸です。俺が扱う武器が魔法陣を使っているんですよ。それで鍛冶師が魔力茸を集めておけっていうものですから」
「分かった。出発を明日の昼まで待ってくれ。明朝に採れるだけ採っておく。魔力茸を必要としている客なんて来ないから大量に生えているはずだ。金は要らないから遠慮しないでくれ」
「ありがとうございます」
こうして出発は明日昼となり、魔力茸も譲ってもらえることになった。
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