第31話 渾身の一撃
騎士団の面々は、オークの上位種に突撃を繰り返しては振り回した武器に押され後退することを余儀なくされる展開が続いていた。
後退する面々はもちろんダメージを受けており、途中でリタイアする物も出る。森の奥にはオークがまだ残っておりそちらにも戦力を割かなければならないという劣勢が続いていた。
状況が変わったのはオークの上位種が使っていた鉄の斧がおれた時、その瞬間時間差で突撃していた騎士たちが同時に突撃を始めた。最初からこれを狙っていたのだろう。息はぴったりであり誰もが止めを刺したと思った。
だがオークは自分の腕を盾にして攻撃を防御した。そしてもう片方の腕で騎士団長を攻撃。騎士団長は吹っ飛ばされ意識を失った。そのことで騎士の間に動揺が走りその隙に次々と騎士がやられる。もはや敗北するのは時間の問題かと思われた。
そこで俺は魔鉄で作られた感電弾を使うことを決意した。問題は動き回るオーク上位種を止めなければいけないこと。それはザッツとゲイルに任せるしかなかった。
二人がオーク上位種の目の前に立つと上位種はそれを警戒し動きを止めた。その隙をついて銃弾を発射。銃弾は見事眉間に命中し、オーク上位種は全身を痙攣させて倒れた。
ザッツとゲイルの二人は呆気に取られていたがすぐに正気に戻り、オーク上位種の首を切り取り戦闘は終了。何とか死亡者を出さずに戦闘を終えることができた。
しかし、騎士団との軋轢ができてしまった。団長のグランツは穏便にことを進めようとしてくれいるが団員の十名程が。
「俺たちの手柄を横取りしやがって。あのまま戦闘が進んでいてもオークの上位種は討伐することができたんだ」
と怒鳴り始めた。俺は。
「そんなつもりで戦闘に参加したわけではない」
と言っても騎士の数名は聞く耳を持たずに。
「これは面子の問題なんだよ」
と言うばかりであった。こればかりはどうしようもないと思った俺はその場を離れ、そのまま馬車を走らせヘキサ村へ移動することにした。
一応、街を出る前に村長に挨拶をすると。
「あなた達は命の恩人です。チーズに関しては準備を進めておきますので期待して待っていてください」
と嬉しい言葉を頂いた。
こうして、アデル村をあとにしてヘキサ村へと向かった。道中は魔物も動物も現れることなく、風景を楽しみながらのんびり村へ移動することができたのだった。
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