第28話 オーク軍
アデル村に到着したのは昼前、森に一番近い家がオーク三頭に囲まれているところだった。
俺の乗った馬車がスピードを上げてオークの傍に馬車を付け、感電弾を放つ。そこで生じた隙をついてザッツ、ゲイル、ナターシャの三人が一太刀でオークを仕留めた。
俺は家を開け広げ、住民がいないかを確認する。中には女と子どもが一人ずつしかいなかった。嫌な予感がした俺は家の裏手を見る。そこには無残に殴り殺された男の姿があった。
俺は家に残された女性と子どもを馬車に乗せ、森に近いところを周りながら村長の家を目指した。幸い他に襲われた家はなかった。
村長の家をノックすると村長はすぐに出てきた。俺を見るなり笑顔になり話し始める。
「カイト殿。お早いお戻りで、それで騎士団はどうなりましたか?」
そこに騎士団長が話しに入ってくる。
「私が騎士団長のグランツです。早速で申し訳ないのですが村人たちを森から一番遠い家に避難させていただけませんか?」
騎士団長の真剣な表情に村長はきょとんとして。
「どうかなされましたのかな?」
「実は森に一番近い家がオーク三頭に襲われていました。亭主と思われる男性は殺されてしまい女性と子どもはこちらで保護させていただいております」
その言葉を聞いて村長は真剣な表情になる。
「すぐに皆を避難させます」
「カイト君、馬車を使って動くのが困難な方の避難を手伝って欲しい。私たち騎士団は森へ向かいオークの様子を確認してくる」
俺は頷くことしかできなかった。それほど先ほど見た男性の死体が衝撃的だった。
一時間かけて村人の避難を終えた俺たちは森の近くまでやってきた。それを見つけた騎士団長のグランツは近づいてきた。
「わざわざ報告は必要なかったのだが、無事に避難が済んだのかな?」
「はい。それで俺たちにも何かできることがあればと思いまして」
「それでは申し訳ないのだが街まで戻り、騎士の応援を呼んできてもらえないかな:
その言葉を聞き、俺は固まってしまった。が騎士団長は続ける。
「どうやらオークの上位種が現れているようでね。上位種だけであれば討伐できるだろうが周りにオークの群れがあるんだ。ここで一網打尽にしておかないとさらに上位種が現れる可能性もあるからね。そのために応援が必要なんだよ」
「分かりました。ユーステリアの街に戻り騎士の応援を呼んでまいります。時間は今日と同じくお昼前となるとは思いますが、それまでご無事で」
「そちらも安全とは限らないから気を付けて」
そう言って俺たちは別れ、街へ馬車を走らせた。
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