第27話 騎士団
カイトたちは急いで村を出て馬車を走らせた。想定通り街門が閉まる前に到達できて検問の列に並ぼうとしていると兵士のゲイルから声がかかる。
「カイト様は有事の際のみ貴族専用の街門を通れるよう通行証を預かっております」
そんなことは聞いていなかったけれど、時は一刻を争うかもしれないので追及はしないで置いた。
馬車はまっすぐ貴族街へ向かい領主の館へ到着した。アポイントメントのない馬車が到着したことに全く驚いていないメイドや執事たちに逆に驚くことになったがすぐに領主様に会うことになった。
俺では報告に不備が出るかもしれないので、ザッツに報告を任せた。
「では報告させていただきます。アデル村付近の森比較的浅い地点に置いてオークと遭遇しました。既に冒険者ギルドに調査の依頼が出されておりましたが冒険者のドックタグを発見。その後、少し奥にまで進んだところ十頭のオークと遭遇し、討伐しました。流石に異常と感じたためすぐに退却、騎士団によるアデル村周辺の森の調査を進言させていただきます」
「分かった。早急に騎士団に伝えよう。それで、オークの死体はどうした?」
「カイト様のスキルにて持ち帰っております」
「ではこのまま兵士詰め所にてオークを解体してくれ。胃の中の内用物から何かわかるかもしれん。肉はそのままカイトが引き取ってくれて構わないぞ」
「了解しました」
報告が終わったため馬車に乗り込み、兵士詰め所に到着した。事情はゲイルが話してくれて兵士がオークを解体することになった。ちなみに俺はその場には立ち会わないことにした。胃の中から人間の部位などが出てきたら吐いてしまう自信しかなかったからだ。
予想通り、オークの胃の中には人間の部位とみられる肉片が残っていた。状況からそれは調査依頼を受けた冒険者のものと断定された。冒険者ギルドへの報告は兵士に任せ、俺は屋敷へと帰った。次の日には騎士団と共にアデル村へ向かうように屋敷の執事に連絡があったようで、またアデル村に向かうことになった。
その日は食欲もなくすぐに眠ろうとしたがなかなか寝付けなかった。いつの間にか眠っていたが頭がもうろうとする中、馬車に乗り込み騎士団と共にアデル村へと向かう。
何も起きていないことを祈りながら馬車に揺られ、道を進んでいった。
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