第26話 オークの足音

「それが、数日前に冒険者の方々がやってきまして数日は森に入り調査を行うと言っていました。おそらく二、三日は戻らないだろうと言っていたのですが今日で五日目なので調査隊を出すか、冒険者ギルドへ報告に行くかで悩んでいたのです」


「では、私たちは森で調査をしながら魔力茸を採取してきます。そして異変を感じれば戻ってきますので、その場合は冒険者ギルドへ報告をしましょう」


そう言うと皆納得してくれた。その後、俺は四人を集めて意見を聞く。


「ザッツたちはオークを何体なら相手できる?」


「一人一体が安全に狩れる数だな。それ以上となると怪我の恐れが出てくる」


「カイト様はオークが出現すると思われているのですか?」


「前回、森に入った時に遭遇したからね。それを報告したから冒険者に依頼が行くことになったんだよ」


「そうだったのですね。それでその件がどうなったかを気になされたと」


「そう言うことだ。まあ行ってみないと状況は分からないし行こうか」


そう言って五人で森へ出かけた。ミリアナはお留守番が良いと思っていたのだが戦えるとのことで連れてきた。すると前回魔力茸を採取した場所にオークと思われる足跡があった。それは森のいたるところにあり、どうやら森の浅い部分までオークが出没しているようだった。


「ちょっと森の中腹辺りまで行ってみようか。四体以上のオークがいた場合は撤退で」


他の四人は頷き、森の中腹へと歩みを進める。五分も歩かないうちに冒険者のドッグタグが見つかった。


「これは本格的にまずいかもな」


そうつぶやいた時、地響きが聞こえてきた。その地響きが近づいてきていることからオークに発見されたらしい。退路を確保しながら待ち構えるとオークが一匹で迫ってきていた。


「ザッツ。拳銃の新しい弾丸を試してみたい。感電の魔法陣が付与された弾丸だ。動きが鈍るようであれば首を落としてくれ」


ザッツが頷いたことを確認してから俺は拳銃を打ち込んだ。外さないように胴体を狙い打ち込んだのだが当たると同時にオークは動けなくなり、ザッツによりそのままオークは首をはねられた。


だが、音につられたのかどんどんオークが迫ってくる。俺は迫ってくるオークへ感電弾を撃ち込みザッツやゲイル、ナターシャに止めを刺してもらう。そうして十体のオークを討伐してようやくオークのおかわりが無くなった。


俺たちは疲労困憊となり村へ帰った。村長には冒険者のドッグタグを見せておそらくやられていることを話した。そこでザッツが口を開く。


「あれほどのオークが村の近場にいるとなると騎士団を派遣できるはずです。今からなら街門が閉まる前に街に到着できるはずですので急いで街に戻り、この事態を報告しましょう」


これには俺も賛成だったため俺たちは村を出て街へ急いだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る