第25話 子牛の胃

次の日の朝、馬車で鍛冶屋まで行くと鍛冶師たちは大騒ぎだった。俺が馬車から降りるとその騒動は終わり何故か俺は怒られた。


「来るなら一人で来いよ。馬車なんかで来られたら貴族が来たと勘違いしちまったじゃねーか」


「それについては無知でしたとしか言いようがありませんがこれから行商に向かうんですから馬車で来るのも仕方ないじゃありませんか」


と反論してみたが一蹴されてしまった。


「それで何の用だ」


「拳銃と弾丸の補充に来ました」


「ほらよ。一応魔鉄を使って作ってあるから多少は重くなっているから注意しろ。それと弾丸だが要望通り感電の魔法陣を付与してある。それが九十九発だ。それ以上の物を作るには魔石と魔力茸が必要だから手に入れる機会があれば集めておけ」


「わっかりました」


そう言って敬礼しておいた。無視されたが・・・。


準備も済んだのでアデル村へ向かうと馬車へモーモーが突っ込んでくる。それを拳銃で撃ち殺しながらも前に進む。もちろん死体はストレージに回収する。初めは驚かれていたが次第に慣れてきたのか驚かなくなってきていた。


そんなトラブルに見舞わられながらもアデル村へ前回の半分ほどの時間で到着した。村長宅へお邪魔して子どものモーモーがいることとチーズ作りについて話す。


「確かにチーズは子牛の胃を使って作りますがどこでそれをお聞きになったのですかな?」


「この村の人が教えてくれましたよ」


と言うと鬼の形相となる村長。


「まあ。知られてしまったのでは仕方がないですね。それでこの子供のモーモーでもチーズが作れるかを試してほしいということですな」


「そう言うことです。そして完成したならば俺に優先的に卸してほしいのです」


「まあ材料を持ち込んで頂けるのであれば構いません。どうせ牛乳は余るほどあるのですから。それでそのモーモーはどこに?」


「解体場に並べていますので準備をして来てください」


そう言って俺は先に解体場へと向かった。並べたモーモーは六頭。一頭分でどれだけのチーズが作れるかは知らないがこれだけあれば一財産は築けるだろうと思っている。


準備を終えてやってきた村長とチーズ作り専門の村民。流石に解体の現場は見せてもらえず、村長宅で待機することになった。作業が終わり呼ばれた時には、腹を裂かれた子牛が六頭横たわっていた。一頭は買い受けたいと言われたのでそのまま売り払い、馬車に積み込むふりをしてストレージに放り込む。


その後、村長宅で前回のオークの騒動後はどうなったかを聞くことにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る