第21話 領主様と対面
謁見の間に入ると、玉座に座る割と若い男性の他にも甲冑に身を包んだ人が数人立っていた。俺は膝をつき、頭を垂れる。
すると領主様と思われる人物に笑われてしまった。しぐさとしては問題ないと思っていたのだがと自分の行動を思い返していると。
「ああ。すまん。平民にそんな改まってもらう必要がないだけだ。それにこちらから呼んだのだからカイトは立って礼でもしていれば誰も文句は言うまい」
どうやら不敬にあたることをしたわけではないことが分かりほっとしていると。
「で。カイトが討伐した盗賊とモーモーの話なのだがな。カイトは凄腕のレイピア使いなのか?」
一瞬何を言っているのかが分からなかった。混乱していることを察したのか甲冑の人が説明してくれる。
「盗賊もモーモーも額に一撃で討伐されていたからそんなことできる武器はレイピアしか思い浮かばなかったのですよ」
納得した俺は。
「いいえ。レイピアなど触ったこともありません。使ったのは異世界人が持ち込んだと言われる銃と言う武器です」
そう言うと後ろに構えていた執事が俺の拳銃を領主様のところへ持って行ってしまった。
「この武器はそれほど使い勝手の良い物なのか?」
「多少の訓練は必要でしょうが民が弓兵になる可能性を秘めている武器だと言えばお分かりになるかと」
「それほどのものか。でこれは量産が可能なのか?」
「私の拳銃をメンテナンスしてくれている鍛冶師に聞くと、街中の鍛冶師が仕事に追われると言っていました」
「それほど負担がかかるのであれば軍用として使うことはできんな。まあ銃は弾の生産にコストがかかりすぎると言われているらしいからな。そちらの方面はどうしているのだ?」
「弾には魔法陣を仕込んでもらっています。今はまだ改良中とのことですが・・・」
「そうか。では次の話しに移ろうか。カイトのスキルはアイテムボックスか?」
「正確には違いますが似たようなものとだけ言わせていただきます」
「盗賊の死体やモーモーを運んだのはそのスキルか?」
「そうです。どうして気づかれたのでしょうか?」
その時、甲冑を付けた人が一歩前に出て話し始めた。
「盗賊の死体を見せてもらったあの場所には血痕が全くなかった。それに死んだすぐあとのように血が流れていたしな。それと近くに倒れていた巨木だ。最初はあの場所に倒れたものだと思っていたが道を塞ぐように巨木が倒れた後があった。それらを鑑みてアイテムボックスのスキルだと判断したのだ」
その観察力には舌を巻くしかなかった。
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