第20話 領主様

伝言を聞いた後は商業ギルドを後にして、鍛冶屋へと帰った。皆温かく迎えてくれるので最早第二の実家とかしている。


いつも通りガンツさんに呼び出され、工房へと向かう。


「で。領主様の迎えに来るからと伝言を預かったと」


「はい。用件が銃のことなのか俺のスキルのことなのかは不明ですが、どうするのが賢明なのかなと思いまして」


「確かにそれは分からんな。銃のことなら話してもいいんじゃないか?軍で使うとなると鍛冶屋が忙しくてかなわんくなるぞ。スキルのことの場合は自分で考えて行動するしかないわ。後ろ盾を得るか、敵対してこの場を去るかしかなくなるとは思うがな」


「うーん。行き当たりばったりで行ってみようと思います。考えてもいい案が浮かばないので。それよりもウルク村で鉄の農具を依頼されたのですけれど受注してもらえますか?この紙が受注数だそうです」


「分かった。いつまでに準備すればいい?」


「冬までには一度ウルク村へ向かうと約束したのでそれまでにお願いします」


その後はいつも通り検品と補充を行った。そして眠りについた。


次の日の朝、いつもより早く目を覚ました。ちょうどいいので商業ギルドへ向かい迎えが来るのを待っていようかと思っていたのだが、既に馬車が到着していた。馭者が俺に向かって話しかける。


「カイト様でいらっしゃいますか?」


「はい。そうです」


「では乗ってください。領主様の元へご案内します」


断れる雰囲気ではなかったため馬車に乗り込んだ。中には執事と思われる人がおり、何故呼ばれたのかを説明し始めた。


「カイト様が呼ばれたのはイテル村の道中で退治した盗賊の件とムスタル男爵家に卸したと言われているモーモーの一件について説明が欲しかったためです。領主様も気になっておられるのでご迷惑かとは思いましたが呼び出させていただきました。詳細は領主様から話されますのでその質問に答えてください」


「分かりました」


その後、無言の時間が領主邸に着くまで続いた。


領主邸に着くと玄関にはメイドさんが並んでおり。


「いらっしゃいませ。お客様」


ときれいな挨拶をされた。俺は感動すると同時に住む世界が違うなと感じた。その後、念のためと言うことで武器の類を預かる旨を伝えられたので俺は拳銃を手渡すと。


「あまり見かけない道具ですがこれは武器なのですかな?」


と兵士の方に質問されたので。


「はい。異世界人より持ち込まれた拳銃という武器らしいです」


と返しておいた。それを聞いていた執事さんが。


「それは採算が合わないため使われない武器ですが、どうなのでしょうか?」


「今改良している最中です。詳細は鍛冶屋に任せているので分かりませんが、魔法陣を使って運用できるようにしています」


と返しておいた。その間に身体チェックは終わり、いよいよ領主様と対面することとなる。

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