第18話 ウルク村
貴族街から鍛冶屋に戻った俺はガンツさんから経緯を根掘り葉掘り聞かれた。
「だからパーティーがあるからモーモーの肉を卸してほしいって頼まれただけですよ」
「そこまで言うなら本当だろうな。で、いくらで売ったんだ?」
そう言えば金額を見ていなかったことに気づきずた袋を取り出し中身を広げてみた。そこには金貨が三枚ありガンツさんと二人で叫んでしまったのは言うまでもない。
「貴族ってお金持っているんですね」
そう言いながらガンツさんに金貨を一枚渡す。
「何のつもりだ?」
「これまでの拳銃の開発費用、弾の開発費用とこれからの先払いです。拳銃は金食い虫だって言っていたじゃないですか」
「そう言われちゃ受け取るしかねぇな」
そういってガンツさんは金貨を胸ポケットにしまった。
「そういえばこの間拳銃を使っていた時に音につられてモーモーが大量に寄ってきていたんですよ。それで拳銃の発射音を抑える方法ってありませんかね?」
「んー。俺の専門じゃねーからわからねーな。この街には魔法陣の専門家はいねぇし他の街の本屋でも行って専門書を探してくるしかねーんじゃないか?」
「とりあえずは行商で街を跨げるように準備をしていこうと思います」
「まあそーしろ」
そんなことを話しながら拳銃の検品、銃弾と拳銃の補充を手早く済ませた。
「今度は西側のウルク村に行ってみようと思います」
「そっちは気を付けろよ。浅い部分にもウルフが出てくる。拳銃じゃ相手が悪いだろ。護衛でも付けたらどうだ?」
「信用できる護衛がいないんですよ。ストレージの件もなるべく知られたくありませんし」
「そうだな。商人としては大成するんだろうが身の安全が保障できねぇしな」
「と言うわけで明日の朝出発します。今日は泊めてください」
「あれだけ金を貰ったんだ。いくらでも泊っていけ」
そして次の日、ウルク村へ出発した。ガンツさんから聞いていた通りウルフが頻々に襲い掛かってくるが拳銃の音がうるさいのか数発撃つと逃げていく。
「次は音が大きいのに助けられたな」
この場所は行商人も危ないためか護衛を雇っておりこちらを珍しそうに眺めている。中には拳銃を売ってくれという商人まで出てくる始末だ。
そんな商談を断りつつも先に進み、ウルク村へ到着した。ここは穀倉地帯で比較的安く穀物が手に入る。しかし、道中が危険なため街に着くころには値段がかなり上がってしまうのだ。
俺は村長に相談し、解体場を借りてモーモーを捌き始める。その様子を見た村人が集まったところで。
「穀物や珍しい物と物々交換です」
と言うと村人は家へ走って帰っていく。どの村でもこの光景は変わらないなと一人微笑むのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます