第16話 ランクアップ
オーク肉をみんなで食した次の日、俺はユーステリアの街へ戻るため準備を進めていた。
そこへ村長が一枚の便箋を持って訪ねてきた。
「カイト様。申し訳ありませんがこれをユーステリアの冒険者ギルドまで届けていただけませんか?本来ならば私どもが行かなければならない所ではありますが最近盗賊の数が増えているらしいので」
「構いませんよ。俺も街へ戻る予定でしたから」
そう言って便箋を受け取り、アデル村を出た。
街へ帰る道中はモーモーが多く出現した。モーモーは好奇心が高いのか拳銃を撃つたびに寄ってきている気がする。
「消音の拳銃も欲しいな」
カイトはぼやいた。街に着いた時にはモーモーを五十匹狩っていた。流石に一度には卸すことはできないなと考えながら台車に木樽と木箱、モーモーを一匹乗せて検問を受ける。
「このモーモーは状態が良いな。どこの店に卸すんだ?」
門兵が尋ねてきたのでいつも肉を買い取ってくれる肉屋を教えた。すると。
「あそこの肉は最近品質がかなりいいんだ。この肉を持ってきた坊主が卸しているとなると納得だ」
ともう一人いた門兵が話す。二人の話が盛り上がってきていたので後ろに並んでいる民衆が苛立ち始めた。
「あのー。通っていいですか?」
そう尋ねると、周りの雰囲気に気づいたのか、申し訳なさそうにしながら
「すまねぇ。通って良し」
ユーステリアの街の中に入った俺は初めに商業ギルドへ向かう。そこで乳製品や卵の査定を受けた。卵は清浄の魔法陣を使わなければならないため、それほど数が売ないとのことですべて買い取ってもらうことはできなかった。牛乳も明日ならもっと買い取れるとのことなので持ち帰ることにした。チーズやバターはいい金額となりこれは売った。
次に肉屋にモーモーを卸しに行くと状態が良いとのことでいいお値段で買い取ってもらえた。最近は在庫が足りなくなることが多いとのことなのでもう一匹出すとそちらも買い取ってもらえた。
最後に冒険者ギルドへ向かった。便箋と預かったお金を渡すと依頼の受注が完了したようで早速依頼の取り合いが発生していた。
俺は冒険者ギルドをあとにして鍛冶屋へ泊めてもらいに行く。その後はいつもの流れで拳銃の検品、補充をしてもらい。忘れないうちにオークの魔石を渡しておいた。
そして次の日、商業ギルドへ向かい牛乳を卸すとギルド会館の中に呼ばれた。嫌な予感がした俺であったが内容は商人ランクのランクアップでFランクからEランクになった。特典としては街の中で屋台を出すことができるようになるとのことだったが、俺は行商を続けようと思った。
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