第15話 アデル村

アデル村の村長宅に泊まらせていただいたのだが今日の収穫分と野菜を交換してほしいということなのでアデル村にもう一泊することになった。


村民が牛乳を搾っている間に俺は近くの森へ向かう。村の子供たちがついてこようとしていたが親に見つかり連れ戻されていた。


俺は森の中で毎度おなじみの回復草と魔力茸を収穫した。少し集中しすぎたせいで森の少し奥まで来てしまった。引き返そうと思った時に自分以外の足音に気づく。素早く身を隠し、足音の正体を探るとオークが一頭で歩いていた。


しかも、向かっているのはアデル村の方角だ。これは仕留めるしかないと決断した俺はまず足めがけて拳銃を乱射する。目的通り足に命中したが片足にしか当たらなかったようで足をかばいながらこちらへ向かってくる。オークは鬼のような形相をしていた。豚だが・・・。


後はアデル村へ引き返しながらオークの眉間めがけて拳銃を放つ。眉間には当たらなかったが右目から脳へ貫通したらしく何とかオークを討伐することができた。


銃声を聞きつけてか村人が集まってきた。その村人をかき分けて村長が前に出る。


「何か大きな音がしたので駆けつけたのですがこれはどういうことですかな?」


「すみません。植物を採取していたのですが不注意にも森の少し奥まで入ってしまいまして。そこでオークに遭遇しました。村の方角へ移動しているようなので念のため何とか討伐できました」


「それはありがとうございます。この村では牛や鶏を飼育しているため肉食の魔物が村に近づきやすいのですよ。毎年冒険者に偵察と討伐を依頼していたのですが少し頻度を上げなければいけないかもしれませんね。ところでそのオークはどうなさるおつもりですか?」


「魔石を抜き取った後のことは考えていませんが、どうかしましたか?」


「オークの肉は絶品らしいのです。我々も食べたことはないのですが・・・。もしよければこの村で買い取らせていただけませんか?」


「構いませんよ。もしよければ私も味見をさせてもらえませんか?」


その言葉に村人は沸き上がった。


「それはもちろん構いません。それでは解体場に運ばせます。金額は私の家で相談させてください」


村長宅で値段の交渉をした結果、チーズやバターといった高級品や牛乳や卵といった食材をかなりの量を融通してもらった。


「牛乳や卵は足が速いのですがそんなに引き取っていただいて大丈夫ですか?」


「私のスキルを使えば新鮮な状態で運ぶことができるので大丈夫ですよ」


村長はそのスキルが気になっていたがスキルを聞くことは失礼にあたるため我慢していた。


その日は村でオーク肉のパーティーとなり村人と一緒に日が沈むまで騒いだ。

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