第14話 インク

「何故、魔法陣を書くのに魔石が必要なんですか?」


「お主本気で言ってるのか?」


またもや俺は首をかしげる。するとガンツさんはため息をつきながら説明してくれた。


「魔法陣を書くインクと言うのは魔石を砕いたものに水を混ぜた物なんじゃよ」


「なら銃弾を作るのに魔石が大量に使われているってことじゃないですか。そのお金はどこから来ているのですか?」


「銃弾を撃ち込むのに使う魔石なんぞゴブリンの魔石で十分足り取るわい。逆に買い手がつかんからありがたられとるぐらいじゃ」


俺はそーっとゴブリンの魔石を取り出してガンツさんに渡した。


「何の魔石じゃ。これは」


「ゴブリンです。銃弾作成の足しにしてください」


「まあ、ありがたく受け取っておくわい。どうせ売っても金にならんしの」


「それでランクの高い魔石となるとどのような魔物の魔石なら良いのですか?」


「試してみらんことには何とも言えんがオークやフォレストウルフなら試してもいいの」


「売っていたら買っておきます」


「そうしてくれ。今の魔石で出力を上げる以外にできることはほとんどないからの。今は対遠距離用の試作品を作成しとるところじゃ。それが完成すればカイトでもそのランクの魔物を討伐することができるかもしれん」


「できれば遭遇したくないですけれどね」


「そうじゃな。そろそろ暗くなってきたし今日は休むか」


そうして俺は部屋を借りて熟睡した。


次の日、お弟子さんたちとの戦争のような朝食合戦に参加し、今後の予定を立てる。


「今は昨日話した銃の開発で忙しい。しかもこの開発は金食い虫じゃ。カイトは商人としてしっかり稼いで来い」


と言われてしまった。仕方がないので仕入れついでにユーステリアの街周辺の村をしらみつぶしに周ってみることにした。次は南の方角にあるアデル村だ。畜産が有名な村だというし牛乳なんかを仕入れれば儲けられるかもしれない。


アデル村への道もイテル村同様道の両端が木で覆われていた。イテル村と異なるのは鹿は出没せず牛の魔物であるモーモーが出ることだろうか。


このモーモーはこちらを見るなり突進してくる。が撃ち打ち抜けば倒せるので美味しい魔物だ。もちろん味も美味しいらしい。


それ以外には特に何もなくアデル村までたどり着いた。


アデル村では肉ではなく野菜が喜ばれた。そのため木箱に詰めておいた野菜と牛乳や卵を物々交換した。あと今年は飼料が特に良く育ったため格安で譲ってもらった。


商売をしたことで村人からの印象が上がったのか村人が村長を説得してくれたおかげで村長宅に泊まることができた。

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