第11話 イテル村

イテル村にたどり着いた俺は、まず村長に挨拶しに行く。この村の村長は優しそうな人で俺が行商に来たというと部屋に泊まるように勧めてくれた。


「ありがたくお邪魔させていただきます。それで今までこちらに鉄の農具を売りに来ていた行商人なのですが、どうやら盗賊の手にかかったらしく・・・」


そう言うと村長は悲しそうな顔をしながら。


「そうですか。優しそうで商人には向いていない青年でした」


とだけ呟いて泣いていた。邪魔をするもの悪いと思い俺は部屋へ向かいその日は眠った。


次の日、村長に案内された解体場所で鹿を取り出し捌いていると多くの人が集まってきた。


「このお肉は販売します。物々交換でも構いません。あと鉄の農具も持ってきております。ご入用の方は古い農具を持ち寄ってください」


そう声を張り上げると多くの人は家へ物を取りに行ったようだ。だが数人にやにやした顔でこちらに向かってくる青年がいた。


「おい。ガキ。この肉俺たちに寄こせよ」


そう言っていきなり殴りかかってきた。俺は顔面に拳を受け吹き飛ばされる。


村長はそんな若者を止めたが勝手に肉を奪い去っていこうとしていた。俺はそいつらの足へ拳銃を発砲した。


青年たちは一瞬何が起きたかわからないといった様子だったが次々に仲間が地面に倒れこんで痛がっている様子に恐怖していた。中には失禁までしている者もいる。


「お前たちがやったことは盗賊と何ら変わらない。盗賊が捕まった際の末路は知っているだろう?」


青年をまとめていたリーダーの男は震えながら許しを乞うている。俺は村長の方を見て話しかける。


「村長はこいつらをどうするんだ?」


「村から追放します」


「それでは本当に盗賊になって以前来ていた行商人のように被害者が出るぞ」


村長はそう言われると覚悟をしたようで俺が鹿の解体に使っていたナイフを手に取ると青年たちに目を向けた。しかし、その手は震えていた。


俺は村長の手からナイフを奪い取り、拳銃で青年たちの頭を撃ちぬいた。


「この死体はどうする?この村に置いておきたくないのであれば俺が街まで連れていくが」


「この村で罪を犯したものは火あぶりの刑に処す習わしです。この青年たちもこの村で弔います」


「分かった」


そう言って俺は殺した青年たちを運ぶのを手伝った。その日のうちに弔いを行い商売どころではなくなったため明日改めて商売することを知らせてその日は解散となった。


まだ日が高く昇っていたため俺は近くの森に入り、回復草や魔力茸といった高く売れそうな物を採取して村へ戻る。この日も村長宅に泊まらせてもらったのだが悲しそうな村長にかける言葉が見つからず俺は部屋で眠った。

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