第8話 アリステル村

アリステル村に行く最中に出会った生き物はサーチ&デストロイしながら進んでいった。中には盗賊もいたが人数も多くなかったため拳銃の前に倒れた。そんな調子で肉などを補充しながら半日でアリステル村までたどり着いた。


ファテナさんが来た時には村中の人が集まってくるがそんなにと言うか全く認知度がない俺が来ても村人一人集まる気がしない。いや。家族だけは迎えに来てくれた。


「やはり街ではうまくいかなかったか?」


とぱぱん。


「時間はまだまだあるのだから挑戦することが大事よ」


とままん。


俺はと言うとそんな二人に挨拶だけして村の中央へ移動する。何をしでかすか気になったのであろうぱぱんとままんは着いてきていた。


村長に村の中央の解体場を使う許可を得ると、アリステル村に来る途中で仕留めた鹿を一頭取り出し解体し始める。二人と村長は驚いていたが、肉になかなかありつけない村では貴重な機会であるため三人は村人を呼びに行く。


村人は俺のことを知っているので分けてもらえると思っていたのか肉を包む葉だけ持ってきていた。そんな彼らに俺は無情な言葉を投げかける。


「みんな知っての通り俺は商人だよ。物々交換でもいいから何か持ってきてよ」


その言葉を投げかけたと同時に村人たちは家へ走り帰り足の速い作物などを持ってきた。俺はそれを理由に肉を高めに設定して物々交換していく。品物ごとに街で買い込んでいた木箱に詰めていき鹿一頭を交換しきると全ての木箱を格納した。


「それでカイトよ。商人と言うのであればどのくらいの頻度でこの街にやってくるのだ」


と村長。


「定期的に来ることは考えてないです。でも作物が実る頃には来てもいいですね」


その返事を聞くことができ村長は嬉しそうだった。


今から街に戻るのは危険なため家に厄介になることにした。お詫びとして兎を一羽渡すとゆっくりしていきなさいとのありがたい言葉を頂いた。


「それでカイト。街ではちゃんと食べていけているのか?」


とぱぱん。なんだかんだと心配してくれているようだ。


「鍛冶屋にお世話になっているよ。今日交換した鹿もその工房で作ってもらった武器で俺が狩りをしたんだ」


その言葉に両親は驚いていた。しかし何事もなかったかのように俺は話を続ける。


「まあ武器の材料に問題があって半ば使い捨てになっているからお金を稼がないといけないのだけどね」


「困った時は帰ってきなさい。何とか力になれるように頑張るわ」


とままん。そして料理を出してくれた。俺はそんなに月日が経ったわけでもないのに懐かしく感じる料理に涙が流れそうになった。

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