第7話 試験射撃

次の日、俺は寝不足で目をこすりながら起きてくるとガンツさんが話しかけてきた。


「おう。カイト。緊張して眠れなかったか?それはさておき、鍛冶屋の裏手に荷物が届いているから工房の中にしまっておいてくれ」


そう言ってガンツさんは朝食を食べに行ってしまった。一瞬、試験射撃は今日じゃなかったかなと思ったがガンツさんの物言い的に今日であることは間違いないだろうと思い直した。


俺も朝食を食べ、頼まれていた鍛冶屋の裏手の掃除と工房への運搬を済ませた。するとガンツさんが。


「昼食を食べたら草原へ試射に向かうぞ」


と言った。俺は急いで昼食を食べ喉につっかえさせて笑われていた。


そんなこともありながらも草原へ到着するとまずは一発銃弾を岩へ打ち込む。とりあえず魔法陣の威力が弱い物から試して十発撃ちこんだが一番強い物でも問題ないことが分かった。


次は動物や魔物相手にどこまで通用するかの実験となり、平原を歩きながら獲物を探す。ゴブリンやホーンラビット、鹿なんかが現れ銃弾を撃ち込んだ。


ゴブリンは頭を打ち抜き一撃で死亡、ホーンラビットと鹿は内臓を傷つけたらしく逃げられたが血を追いかけた先で死んでいた。


ゴブリンは魔石を取り出し残りは廃棄、ホーンラビットと鹿は丸ごと格納して持ち帰ることにした。


そんな調子で弾丸を全て使い切って工房まで帰ってきた。獲物は肉屋に解体をお願いした。


工房に戻るとガンツさんはすぐに拳銃の点検を始める。どうやらライフリングと呼ばれる部分の摩耗が激しいらしく銃身を新しい物に変えなければならないようだ。


そのあたりの知識のない俺はこれからどうするかを考えているとガンツさんに話しかけられる。


「銃身を改良するために魔鉄が欲しい。カイトは商人だろ。どうにかして買い取ってこい。拳銃は予備を含めて大量に生産するから毎日、獲物を狩りに行って資金をかき集めてこい」


どうやら俺は商人になる前に狩人にならなければならないらしかった。


一週間狩りを続け資金が少し溜まったので行商でお金を貯めることにした。ストレージ内のものは時間が停止することも分かったため安い品物を買いだめしておき高く売ることができそうなのだ。


護衛は雇わず一日で行ける範囲の村まで行商に行くことにした。護衛を雇わなかった理由はスキルについてばれるとまずいと感じたための措置だ。いずれ奴隷を購入しなければいけないだろう。


拳銃は十丁、弾は四百九十五発持ち。初めての行商は生まれ故郷のアリステル村に行くことにした。

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