第4話 ユーステリアの街
ファテナさんが帰った後、家に戻りぱぱんとままんに話しかけた。
「俺、隣のユーステリアの街に行きたいと思います」
「俺は反対だぞ。カイトはまだ若すぎる。商人の経験を積ませてやれないのは申し訳ないとは思うが危険だ」
「あら。いいじゃない。カイトも男の子なのよ。ただし一人では駄目よ。ファテナさんと一緒であれば行ってもいいわよ」
両親で意見が食い違ったが力関係はままんの方が上だ。と言うわけで次にファテナさんが来た時にユーステリアの街まで連れて行ってくれる許可が得られれば行ってもいいということになった。
それから俺は、街に行く準備としてお金になりそうな物を森で探した。森の浅い部分にある物はあらかた取りつくしており川へ向かって石を大量に格納していると石の中に混じって鉄鉱石があった。
これは使えると思った俺は、鉄鉱石を九十九個保管しておいた。
それを終えた次の日にファテナさんが村にやってきた。行商人であるファテナさんがやってくると村中から日用品を買い求めに人が集まるため、ある程度人がはけるまで待つことにした。
ほとんど人がいなくなったタイミングでファテナさんに話しかける。
「ファテナさん。俺をユーステリアの街まで連れて行ってくれない?ファテナさんが了承してくれれば行っていいって両親からの許可はとってあるから」
「うーん。できればカイト君にはこの村で回復草と魔力茸を採取してほしいですけど」
「もう森の浅瀬にある部分は取りつくしたから俺じゃ手に入らないよ」
ファテナさんはショックを受けた様子だった。あれでどれだけ稼いだのだろうか。
「分かりました。いいですよ。でもご両親に確認は取らせてもらいます」
両親とファテナさんの許可を得られたので俺はユーステリアの街まで送り届けてもらえることになった。
「ところでカイト君。ユーステリアには知り合いがいるのですか?」
「いませんよ」
「ならどうやって生活するのですか?」
「とりあえず鍛冶屋に連れて行ってもらえますか?」
「はあ。後先考えてないっすね・・・」
俺は笑ってごまかした。
ユーステリアの街に着くと入場料を取られただけで街に入ることができた。俺はファテナさんの紹介でこの街で一番の頑固だという鍛冶屋に連れてこられた。
「たのもー」
「そんなに叫ばんでも聞こえ取るわい。ってガキか。何の用だ?」
「実は改良に手伝って欲しい物がありまして。報酬はこれで」
俺はストレージから鉄鉱石の山を取り出した。鍛冶屋のおっちゃんは驚いていたが俺には見向きもせずに鉄鉱石の検品をしていた。
「明日、またここに来い。話を聞いて受けるかどうか決めてやる」
「それが泊まる場所がなくてですね。そこの面倒も見てくれませんか?」
おっちゃんのジト目が俺に突き刺さった。
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