第2話 ストレージ
俺はストレージの検証のため集めていた薪を全て格納する。すると十六のマス目の二つ目が埋まり【薪×五十二】と表示された。どうやら同じものは同じマス目に保存できるらしいことを発見し、さらに興奮した。
その後、俺は辺り一面に落ちている物や生えている物を採取した。時にはリスに向かいストレージ内の石を投げつけたりしていた。当たることはなかったが・・・。
【薪×九十九】となった時、もう一度薪を格納した場合はどうなるのかが気になり時間はギリギリだったが急いで薪を探した。
結果は開いているマスに【薪×一】となったため百以上の物も格納できることが検証できた。
必要な事は検証できたので急いで家に帰る。
「カイト。遅かったわね」
ままんは少しお怒りだったがストレージから薪を九十九個出すと急に様子が変わった。
「何も持ってないから遊び惚けてたと思っていたけれどこういうことだったのね。それでこれはスキルの効果なのかしら?」
「そうだと思う。と言うかそうじゃないと説明がつかないからね。それで森で色々な物を収穫していたらこんな時間になったんだ」
「そう。でも時間には気を付けるのよ。遅くなると森の奥から魔物が出てくる場合があるのだから。あとこの薪は裏手に積んでおいてね」
俺は薪を再度ストレージに格納して裏手に放出した。
家に戻ると既に夕食の準備ができており家族が揃っていた。俺は急いで手を洗い夕食を囲む。
「カイト。明日、行商人のファテナさんがくるから商人についていろいろ学んできなさい。だけどストレージに関しては話しては駄目よ。あれは知っている人が少ない方がいいわ」
そう言われると納得できたので、ごまかすために袋を一枚貰えるように交渉した。この家ではこんなものでさえもらうのが厳しい状態なのだ。
そして次の日、まずは森に薪を拾いに行き、回復草や魔力茸と言ったファテナさんに売れそうなものをかき集めた。もちろん草食動物を見つければ石を投げつける。今回は運よくリスを一匹仕留めることができた。
お昼ごろにファテナさんのところへ向かうとある程度物が売れてしまっている状態だった。
「ファテナさん。こんにちは。実は洗礼で商人の職業を得たのだけれど何か教えてもらえることある?」
「うーん。計算くらいかな。何か買うか買い取れるものがあるなら簡単に教えてあげるよ」
俺は森から採取してきた回復草と魔力茸を差し出した。ファテナさんは顔を引きつらせていた。
「これじゃこちらのお金が足りないよ。何か欲しい物はないのかい?」
「うーん。武器と魔法陣の知識かな。あとは商業の知識」
「結構難しい相談だね。まあいいや。回復草は一本銅貨二枚。魔力茸は一個銅貨十二枚。この魔法陣の複写本が銅貨八十枚としてそれぞれいくつずつ渡せば釣り合うでしょうか?」
結果は分からずありったけの回復草と魔力茸を買い取ってもらい魔法陣の複写本を購入した。
「数は数えられるようだから経験を積めばいずれ分かるようになるよ。ところで武器って何を使うつもりなんだい?用意できる物なら次来るときに準備しておくけど」
「安全に遠距離から攻撃できるものがいいな。取り回しが楽で」
「そんな都合のいい物はないよ。まあ探しておくけれど」
それじゃ今回は店じまいするからまたね。
そう言ってファテナさんは帰っていった。
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