第45話 俯瞰

 とある逃走犯と万能AIのダイアローグ。


「そういえば、HUKAN先生。結局、追試はどうなります? 僕がテストで書いたラブレターを読んだだけで中途半端ですよね?」

「えぇ~、久能さん、追試の合否気になっちゃうタイプぅ~? 合格です!」

「え!? テキトー過ぎません?」

「うんうん、二人でちゃんと実技と筆記を分担してたじゃなぁ~い。コンカツは、パートナーと協力して相互理解を深めれば良いんです。手段はあまり問いませんっ」


「五十嵐さんのやっつけ婚姻届には驚きました」

「人は他者と関わって成長します。五十嵐さんと歩み寄れた証じゃなぁ~い。まあ、ワタシは10年前から予想してたんですけどね」

「かなりのイノベーターじゃないですか」


「そこに気付いてほしかった! ワタシ万能だからぁ~、久能さんの未来予想図も実現させちゃうんですよ、じ・つ・は」

「勝手に描くことなかれ」

「久能さんはワタシが育てますっ。出来の悪い子ほど、心配で可愛がっちゃうなぁ~。うんうん、手心加えて、良いんです!」


 そして、顔面ハラスメントである。こっち来ないで、圧が強いおじさん。

 この因縁、どう断ち切るべきか。

 とにもかくにも、僕とHUKAN先生の小競り合いはまだまだ続きそうだった。

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