第43話 仲間

 食堂のテーブルを囲み、おやつタイムにしゃれ込んでいた頃合い。


「ちょっと、お願いしたいことがあるんだけどさ」

「はい、やりましょう!」


 開口一番、堀田さんが了承した。


「まだ内容を伝えてないよ」

「問題ありません。多分、澪さんの件ですよね? ぜひとも、試すべきです」

「ちょっと追試対策をね。堀田さん、いつも協力してくれてありがとう」

「ふふ、パートナーと手を取り合うのは当然だと思いますよ?」


 コンカツ参加者の鑑だった。

 すぐ辞退やら拒否に発展しないとは、ちょっと泣きそう。


「もふもへほほ!」

「珀さん、クレームブリュレ美味しい?」

「もひほほ!」


 ハムスターよろしくほお張っていた、珀さん。ごっくん。


「ボクも協力するよん。なに、遠慮はいらないぜ」


 口の周りにカスタードクリームをデコレートしつつ。


「パートナーを助けるのは当然じゃないか。小舟に乗ったつもりで、頼ってくれたまえ」

「小舟はもう勘弁して。一応、期待してる」

「明爽くん、ナナちゃんほど感謝されてないのは気のせいかい?」

「ソンナコトナイヨー」


 珀さんに任せると不安なんて、全然ちっとも! でも、保険に入っていいかな?


「おっ、なんだ。儲け話か、久能? 俺も一枚噛ませろってんだ」


 あ、事情通Hだ。


「お小遣いが増えるような案件じゃないけど」

「けっ。頑張れ、遠くで応援してるわ」


 比木盾君はやる気を失い、メロンソーダをがぶ飲みし始めた。


「比木盾くんのお力添えがあれば、久能くんも心強いと思いましたが……残念です」

「俺と久能は、心の友と書いてベストフレンド! お前の悩みはドライブで共有してくれ」

「頼りになりますっ」

「ハッハッハ!」


 微笑んだ堀田さんのヨイショに、機嫌を良くした比木盾君。


「ナナちゃん、魔性の女だぜ……ピュアな男子を無邪気に転がしてるよん」


 珀さん、堀田さんの天真爛漫加減に戦慄する。目のキラキラ、凄いよね。


「やあ、明爽。賑やかな場所の中心には、いつもお前がいるな」

「正確には、うるさい場所じゃない? 迷惑だった?」

「友達が楽しそうなのに、迷惑と思うかフツー? 俺も交ざっていいか?」


 そして、イケメンである。


「加納、皮肉か! 冗談は顔だけにしやがれ、このハンサムフェイスがッ」

「お、おう。真須の怒りポイントはよく分からないな!?」

「加納君は気にしなくていいよ。比木盾君はちょっとアレだから」


 心の友と書いてベストフレンドのから騒ぎを受け流した。


「総司さま、わたくしたちもご相伴に預かりましてよ!」

「総司さま、抹茶パフェとフルーツタルト、どちらになさいますの?」

「ボクは、抹茶パフェを選ぶぜ! 白雪ちゃん、助かるよん」

「ゆのんさんには尋ねていませんわ! セルフサービスですの!」


 御留姉妹までやって来た。

 一気に混沌空間と化した食堂。

 皆々様、あーだこーだと騒いでいる。ご歓談中、失礼するね。


「注目っ! 今から! ここにいる全員、追試対策の作戦会議に参加してもらうよ!」


 仲間たちの視線を集めるや、僕はとあるプランを語り始めた。

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