第14話 帰り道
「うんうん、みなさん、オリエンテーション楽しめたみたいねぇ~。もっとパートナーと打ち解けて、良いんです。来週から、本格的なコンカツの授業が始まります。ワタシ、万能だからぁ~、多次元的にステップアップさせちゃうんですよ、じ・つ・は」
帰りのバスの中、HUKAN先生が何か喋っていた。
「「「……すやあ」」」
トクセンのほとんどのメンバーは疲れて、舟をこいでいた。
もちろん僕は、打撲と擦過傷の痛みで眠気なんて打破しちゃったよ。ほんと、辛いね。
一番後ろの席を失礼した、カルテット。
両隣の珀さん、堀田さん。窓際の五十嵐さん。
心地良いバスの揺れに誘われ、三人もまた夢の世界へ。
時折、僕の肩に二人の顔が乗っかる事態あり。
吐息が耳をくすぐり、温もりが肌に伝う凶悪コンボ炸裂。ハメ技だ!
「背筋がピンとしちゃう感じ、嫌いじゃない」
電車で美人に寄りかかられると嬉しいやつ。し、下心はないったら。
僕が無我の境地を悟ろうと、精神集中に励んでいると。
「えぇ~、久能さん、女子の寝顔でニヤけちゃうタイプぅ~? ムッツリさんじゃなぁ~い」
「僕の安寧を最も乱す、HUKAN先生。スリープモードでお願いします」
「ワタシ、永久機関だからぁ~、フルタイムでコンカツ指導できるんですよ、じ・つ・は」
エネルギー効率、めちゃくちゃ悪いですよ。人類の科学の発展は敗北した。
「まあ、半分冗談なんですけどね」
「なるほどー」
万能AIの登場で、ドッと疲労が押し寄せた。
まぶたが重い……こくりと首が落ちる。
「久能さん、パートナーが三人いても、やっぱりやっていけそうじゃなぁ~い。マッチングの時点で予想していました。ワタシです、ワタシが選びました!」
「どうして、そんな自信、が?」
「そ・れ・は……秘密ですっ。ワタシ、心は乙女だからぁ~、シークレットガーデンに忍び込んじゃダメじゃなぁ~い」
「ガクッ」
睡眠もとい気絶。
このシーンはあまり覚えていないけれど、とにかく眩暈を起こしたらしい。
学校に着いた頃、僕が起きたのは保健室のベッドだった。
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