第5話「りんごの毎日」
りんごの毎日
「ある事件について」
2008年5月12日 20:12
こんにちは。しんたろーです。いつもりんごの応援ありがとうございます。
(大の字であくびをするりんごの画像)
今日もりんごはのんきです。こんな風におっさんみたいな挙動をするので、この子がたまに猫であることを忘れる時がよくあります。
さて、6年前の今日はペットを飼っている人にとってはとても心が痛む事件が起きた日です。
今回はりんごの様子でなく、それについて詳しい経緯と共にお話します。
★猫の死骸が見つかる
5月13日。とある巨大掲示板に建てられたスレッドから全てが始まります。
(当該URL)
猫の死骸がゴミ袋に入っていた、というスレ主。猫の体の損傷は見るに堪えないものです。(現在はログ切れで画像の閲覧は出来ません)
最初こそ騒がれましたが、次第にスレの勢いも落ちていきました。
そんな中、とある住民がその猫の見た目ととあるブログで飼われている猫との関連を指摘します。
(眠るいちごの画像)
ブログの名前は「ありさの迷い猫ちゃん保護日記」。ありさと名乗る人物が傷だらけの迷い猫いちごちゃんを保護、飼育していくというものです。私も当時はよく訪れていました。
(保護日記のURL)
事態を知ったスレ住民のほとんどはブログに駆け込んでありさを糾弾しました。
そのアクセス数は凄まじく一時はサーバーもダウンするほどでした。しかし一部の冷静なスレ住民は画像の解析を始めます。
ヒントとなったのは柄が同じであったこと。
地域猫(不妊手術を受け、地域から認知されている猫のこと。耳がV字に切られています)であること。
それと関連し、切られた耳の位置が同じであったこと。
これらが大きなヒントとなり2匹の猫は同一個体であることがわかりました。
しかしここで疑問が生じます。とてもありさが猫を虐待をしているようには見えない、と。
そう疑うのも無理はありません。なぜならありさは虐待の時系列を逆にしていたのです。
こうすれば傷だらけの猫は日々飼い主の献身的な保護によって回復しているように見えます。最初は怯えた様子でも、少しずつ飼い主に慣れているように見えます。スレの書き込みにもありますが「ヒント:逆再生」とはそういうことです。
すると、少ししてありさの個人情報も少しずつネットに晒されていきました。
この時、ようやく警察にも通報が殺到するようになります。そうして事態はいよいよマスコミの知るところなり、事件が明るみに出ました。
★その後
ありさはすぐに書類送検されました。供述ではありさは「噛まれたのでカッとなって殺した」と語ります。
しかし警察はこれを疑問視します。警察は「ブログの記述からして、初めからネットのでの公開を目的としている」と判断。ありさは逮捕されます。
その後、東京地裁にてありさ――
懲役は2年。執行猶予は3年の判決となりました。これは動物虐待の判決としてはそれなりに重いほうで、ブログの悪質性も加味されてのことです。
ただしこの判決には減刑がなされていました。その背景としては、ありさの個人情報がネット上で晒されたことで、本人やその家族が社会的制裁を受けた、と判断されたためです。
★終わりに
懲役が2年、執行猶予が3年。事件の発覚が2002年なので、猶予の間に何事も起こしていなければありさは今、普通の暮らしを送っていることとなります。ネット、実社会共に沈黙を保つ彼女は今一体、どこで何をしているでしょうか……。
私から言えることは2つ。犯人を決して許さないこと。もう1つは同じような悲劇が起きないよう、そんな人を生み出してしまわないよう、人と人、国と社会が連帯して協力していく必要がある、ということだけです。
この事件を記事にしたのは、当時私が実際にその日記を楽しむ読者であったことから、思うところがあったためです。
ここまでありがとうございました。最後にりんごの写真で記事を締めます。
(眠るりんごの写真)
明日からまたいつも通りのブログに戻ります。
【作者より】
ここまで読んでくださりありがとうございます。
最近、ある事件を知ったことがきっかけでこの作品を書きました。結構心に来る人がいたかもしれません。申し訳ありません。
私も実家が猫を飼っていましたし、今はコザクラインコを飼っています。なんでこんな作品を書けるのは自分でもよくわかんないです。
ではでは次回もお楽しみに。(ちなみに次回の予定はもう決まっております、お楽しみに!)
ありさの迷い猫ちゃん保護日記 コザクラ @kozakura2000
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